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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第5章 桶狭間

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熱田神宮へ

 俺達3人は道具が入ったリュックを背負い、先に出陣した信長様に続いて愛馬と共に城を飛び出したが、信長様は城下町を過ぎたところでのんびりと熱田神宮へ向かい始めた…。


「淳一、信長様だけど…勢いよく飛び出したのは街中だけだったな…もう威勢が途切れたのかな?」


「いや、確か…軍団が到着するまでの時間稼ぎだったはず…まぁ、俺達の時代の歴史からだけど…」


 暗い夜道、俺達は何も言わず愛馬の背に乗り主君の後ろ姿を見詰めていた…これから天下取りを始める偉大な人物は今、どの様な心境でいるか聞いてみたいものだが、そう簡単に聞けるものではないだろう…。


(いずれ藤吉郎様も偉大な人物になるけど、何故か信長様とは君主のオーラが桁外れに違うような気がする…)


「さて、人は居らぬがこの先に茶店がある、そこの縁台を借りて小休止をするぞ!」


(え?…まだ城を出て30分も経ってないけど、いいのかな?…ま、それも信長様のお考えなんだな…)


 それを聞き、小一郎様は慌てて先の茶店へと向かい、愛馬の手綱を馬立(うまたて)に結ぶと、信長様の愛馬の手綱を受け取った!。


「うむ、苦しゅうない、小一郎!」


「有り難きお言葉!」


 下馬をした信長様は、堂々とまだ明け方の人が居ない茶店の縁台のど真ん中に腰をかける!。

 そんな俺達は何をすればいいのか分からず、学校の職員室で先生に怒られる生徒みたいに、信長様の前で一列に並んで立ち尽くした!。


「巽、缶コーヒーは持って来ておるか?」


「ははっ、私は荷物が少ないので一箱ごとリュックに入れてきております!」


「そうか、大儀じゃ!…なら、皆に配るがよい!ここで休憩をいたす!」


「ははっ!」


 俺は信長様、小一郎様、浩一に缶コーヒーをそれぞれに手渡した。


「貴様ら、何を突っ立っておる!わしの横に座らぬか!」


「な、なんたる恐れ多き事!わ、(われ)らは立ったままで十分でござりまする!」


「苦しゅうない!今はわしと4人だけじゃ、遠慮のう座れ!」


 いやいや、小一郎様の言う通り、恐れ多くて織田信長の真横に座るなんて緊張してコーヒーを悠長に飲めるはずも無い!それに、信長様はど真ん中に座っている!俺達3人の内、二人は彼の真横にシッツするのだ!。


「な、なれば…失礼いしたして…」


「浩一…」


「で、では…せ、拙者も…あぁ…と、殿(との)の横に座れるとは…有り難き幸せでございます…」


 織田信長を藤本浩一と小一郎様がサンドした…やはり最後まで手を上げれなかった俺はチキン野郎だ…しょうがなく俺は、のそのそと浩一の隣にチョコンと腰をかける。


「ふぅ~、明け方前に飲む[こーひー]もなかなか好いものじゃな♪」


「はは、そうでござりまするな、澄み切った夜明け前の空気に包まれ、殿(との)とこうして[こーひ]を飲めるとは、木下小一郎、一生涯この[こーひ]の味は忘れません!」


「ふ、小一郎よ、貴様、なかなかの詩人じゃな…のう、藤本よ?」


「はっ!」


「わしは大層この[こーひー]を気に入っておるし、[のんある]とやらも好みじゃ、ただの…これから暑い時期が始まる…わしは思うのじゃ、この[こーひー]と[のんある]が真冬の水のように冷たければ、さぞかし暑い夏の日には上手いじゃろうとな!」


「なるほど…信長様………では……冷蔵庫をご用意いたしましょうか?……」


(おい!浩一!…お前、今何言った!)


「なんじゃ?…その[れいぞうこ]とは?」


「簡単に言いますと、大きくて縦長の箱です、その箱は年中氷を作る事が出来、魚や食材を冬のように冷し長期保存が可能な箱でございます!…無論、夏の暑い日でも冷たい飲み物がいつでも飲めます♪」


「何と、夏に氷か!」


 いきなり浩一はトンでもない商談を持ちかけた!そりゃ、この時代に冷蔵庫を提供すれば信長様は超ご機嫌になり、俺達を更に優遇してくれるのは間違いない!。

 ただ、いくら省エネタイプの冷蔵庫をこの時代に持ってきたとしても、どこから電力を供給するつもりなのだ?。


「お、おい…こ、浩一!…電力供給はどうするつもりだ?」


「は?…淳一?…俺は大学で何を専攻してたか忘れたのか?」


「…!!…電気工学!…」


「だから言ったろ?…電気屋を舐めるなって♪…俺に任せとけ!」


「藤本よ!それが真であれば、その[れいぞうこ]なる箱、金1千両で買ってやる!並びに、そなたらが住んでいる茅葺の家ではなく、庭付きの屋敷も用意してやる!それでどうじゃ?」


(き、金…一千両!!…わずか数十万円の冷蔵庫が、金相場で考えると…い、一軒家のお値段で?…それに、お屋敷付きとは…)


「畏まりました、この戦いが終れば直ちにご用意いたします!…ただ、そのためには数十人の人材をお借りする事になりますが、よろしいでしょうか?」


「よい、よい!…なるほど、れいぞうこか…わははは、これは益々義元の首を取らねばならぬな♪…暑い夏に冷えた[のんある]を飲むためにな!実に楽しみじゃ!…必要な人数をいつでも申すがよい♪」


「ははっ!」


 首席で大学を卒業した浩一だ、すでに電力発電の図面は頭で完成しているのだろう…でなければ、こんなトンでもない発言をするわけが無い…しかし、冷蔵庫の消費電力はかなりのものだ、それを逐一供給出来る方法とは?…ま、全ては浩一に任すしかない…。


「では、熱田神宮に参るか!そろそろ欄丸が到着しておろう!」


「信長様、欄丸様は先に熱田神宮に?」


「そうじゃ!まぁ、巽の言葉からわしなりに考えが浮かんだのでな♪では、参るぞ!」


 熱田神宮、そこで家臣らと合流…まぁそれなりに歴史を学んだ者なら、これから信長様がやろうとしている事は想像が出来ている、後は俺と浩一がどれだけ信長様のサプライズを見届ける事が出来るかだ!。


(このまま俺達が学んだ歴史通りの展開になればいいのだが…)



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