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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第5章 桶狭間

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深夜の出陣!

 浩一の言葉がまだ頭に残っていたが、全てはこの一戦から織田家のストーリーが始まるのだ!。

 俺自身、時間を追う事に頭の整理が出来たからか、例えこの時代が異次元の日本だったとしても、俺達は俺達のやるべき目標を作り、そこに向かい邁進するだけなのだ!。


「それでは、殿(との)のお呼びがかかるまで、皆様はしばらくここでお待ち下さい…」


 清洲城に到着し欄丸様から案内された部屋は、こんな身分の低い3人トリオが入っていいはずもない見事な畳敷きの居間だった!。


(俺達の時代でいう一流企業の待合室みたいなもんかな…)


「なかなかいい待遇だな、淳一♪…新しい畳と(こう)の匂い、高価そうな壷に活け花まで…普通なら城の外で待たされても文句言えない身分なのにな♪」


「まさに、藤本殿(どの)の言われるとおり、有難い事です♪」


 甲冑姿の浩一と小一郎様だが、どうもテレビで観ていた凛々しい武将の姿には見えない…まぁ向こうは役者さんが演じているのだから格好よく見えて当然ではあるが、俺を含めた3人トリオは、時代劇パークの訪問記念に、武将コスプレをレンタルした観光客程度にしか見えなかった…。


(なんか弱そうなんだよな…てか、実際戦闘能力はレベル2程度だけど…)


 信長様よりお呼びがかかるまで、俺達は自分が受け持つ道具の点検を繰り返し入念にチェックしていく、俺は気圧計にトランシーバー、充電器具、方位磁石…浩一はすでにドローンを自分なりに改造し準備は終えている、小一郎様はパソコンの起動状態、予備バッテリーの確認をしていた。


(後は信長様からのお呼びを待つだけか…)


 機材点検を終え、仲様とおねちゃんに頂いた塩おにぎりを食べつつ、初(いくさ)の緊張を感じている、俺達は信長様と一緒だから戦闘の機会は無いにせよ、命を賭けた仕事のプレシャーが重く圧し掛かっていた。


「巽殿(どの)、藤本殿(どの)、緊張の色が顔に出ていますよ…」


「小一郎様は緊張していないのですか?」


「巽殿(どの)ほどではありませんが、緊張はしております…しかし、これだけの道具が我らにあるのです♪此度の戦は我らの勝利が決まっておりますから、拙者は楽しみながら精一杯織田家の為に、粉骨砕身励むつもりです!」


「…楽しむ……そうか…楽しむ…か!…」


 ここが異次元の戦国時代だと知ってから、何かとネガティブな想像が頭に浮かんでいたが、逆に考えれば俺達が存在していた時代の歴史には影響が出る事は無いのだ!。


(なら、俺達が好きなように動いても構わない…この異次元の日本をより便利な国に進化させる為に…未来の人々が安心して暮らせる時代を築く基盤をこの手で…)


 [巽殿(どの)、小一郎殿(どの)、藤本殿(どの)お待たせいたしました、殿(との)がお呼びです!]


 恐らく令和時間で午前0時を過ぎた辺りだろう、歴史通りなら明日のこの時間は祝勝会で酔いが回っているはずだが、まだそれは確定していない事が俺を不安な気持ちにさせていた。


「ありがとうございます、欄丸様…浩一、小一郎様、行きましょう…」


(それにしても、さすが欄丸様だな…)


 すでに出陣準備を終えていた欄丸様は見事な若武者姿になってる、あの美形で甲冑姿…大河ドラマに出演したら、ほっといても視聴率は10%越えるだろう…。

 が!…それに比べ、俺達はせいぜいエキストラ役ぐらいだろうか…。


(今度、欄丸様を令和に連れて行ってオーディションに参加させてみようかな…電気屋で成功するより芸能プロダクションを設立した方が儲かりそうだ…おねちゃんは人妻だけど、(かえで)さんやお市様、城中の綺麗どころを集めてアイドルユニットもいいな♪…おお、二年でビルが建つかも!)


「おい淳一、(いくさ)前の緊張で頭が飛んだか?…何ニヤニヤとキモイ顔をしてるんだ?…早く広間に行くぞ!」


「わはは♪…平和の時代になったら、芸能事務所を開設しようと♪…儲かりそうだろ~?…」


「…発作か?…」


「さぁさぁ、巽殿(どの)も藤本殿(どの)も、殿(との)がお待ちかねでございます!早く広間に!」


 こうして俺達は行灯(あんどん)の光りに照らされた夜の大広間へと通された、ちょうど一の段の手前には俺達を持て成す為に膳と酒が用意されている。


「おぉ、巽!小一郎、藤本!大儀である、今宵は勝利を願い酒宴をいたそう!ま、わしは[のんある]にしておくがな!…明日はもっと盛大に酒宴を開くぞ!…わははは♪」


 別世界の未来から来た俺の言葉を完全に信用しているのか、もはや信長様は勝利を確信しているようだ…もし、失敗したら…明日のこの時間には俺達の命が当に消えている…。

 俺は今、処刑される者の前日がどんな気持ちであるのか身を持って感じていた…。


「さぁ、遠慮のう飲め!…明日よりお(ぬし)らは侍大将に格上げじゃ♪楽しみに待っておれ!」


「な、なんと有り難きお言葉!この木下小一郎、身命を賭け織田家にお使えいたしまする!」


 喜んでいるのは小一郎様だけだ…俺と浩一は、明日自分達が生きているかどうかしか頭になかった…。

 食事をしても、酒を飲んでも、死の恐怖が見え隠れしているからか、料理の味や酒の旨みも分からない…。


「よし、欄丸!堤太鼓を持て!」


「ははっ!」


 欄丸様は、一の段の端に置かれていた堤太鼓を手にすると綺麗なフォームで正座をし、その太鼓を肩に添えた!。


「普段は見せぬのじゃが、此度の勝利を願い、わしは敦盛を舞いその意をを表す!」


(ん?…確か敦盛って…あの有名な?…)


「人間~50年~…化天(げてん)のうちを~(くら)ぶれ~ば~…」


 金箔の扇子を揺るがせ、信長様は優雅に舞っている!本物が敦盛を舞う…ライブでこれを目の当たりにしている俺達を後世の歴史家はさぞ羨むだろう。


「滅せぬものの~あるべきか~~…滅せぬもののあるべきか~~~…」


「………………………………………」(俺達全員)


(お見事です!信長様!)


「欄丸、巽!小一郎!藤本!…出陣じゃーーーー!!」


「おぉーーーーーー!!」(俺達全員)


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