信長様よりお呼びがかかる!
「い、いや…おね!…こ、これは巽殿が…わしは何度も止めておけ!と諌めておったのじゃが、どうしても巽殿と藤本殿が…」
「あ、きったねぇーー!これを指示したのは藤吉郎様でしょ!…俺と浩一は何も知らなかったし!」
パソコン画面にはズームされた八重さんという女性のヌードが大きく映し出されている…当然ながら俺達の後ろに居るおねちゃんや楓さんからもハッキリその姿が見えているはず…。
なので、俺も浩一もおねちゃんの視線が怖くてずっと下を向いていた…。
「あっ、これ…八重じゃない?…こ、こんなの小一郎ちゃんが見たら、あんたら一生怨まれるよ!」
「そうじゃ、だからわしは巽殿らを止めたのじゃ!…小一郎の悲しむ顔などわしは見たくないと言って…なのに…くっ…巽殿は……」
「げっ、き、きったねぇーー!」
「あ、主……ふ、不潔です!…ぐすっ…み、見損ないました…」
「あ、ちょっと楓さん、違うんです!これには訳が…」
楓さんは半べそでこの家から飛び出してしまう!。
もしかして、俺の持つ運命の星は何かとトラブルを持ってくる星なのだろうか?…なら、俺ってかなり可哀想な子だ…。
「おい表六玉!」
「な、なんでしょうか?…お、おねさん…」
「もう一度、しっかりうちの目を見て同じ事を言ってみろ!」
「えっ、何の事でしょうか?」
「たっちゃんと浩ちゃんが、こんなアホな事をあんたに誘う訳ないだろうが!…ほら、本当の事を言わないと、どうなるのか、あんたなら分かってるよね~!」
「ひっ!…わ、分かりました~…ぜ、全部わしの差し金ですぅ~~…」
「最初からそう言えばいいんだよ!このスカポンタン!…うちはすぐ楓を追いかけてくるから!それと、たっちゃんも浩ちゃんも、八重の裸を見た事は事実だから、今夜は松風の小屋でこのスカポンタンと三人寝る事!それと、夕飯も抜き!…いいね?」
「はい…すみませんでした」(巽)
「ごめんなさい…すぐ画像は完全消去します…」(浩一)
「申し訳ありませんでした…おね様…」(藤吉郎)
何とかおねちゃんの説得により、楓さんの誤解は解けた…ただ、結局罰としてその日の夜は空腹と馬小屋の臭いに我慢をしながら寝る事になったのだが…。
そんな辛い夜を過ごした二日後の朝、織田家より使いの者が訪れ、いよいよ信長様から評定に参列せよとの伝言を受けた。
「しかし、どうも納得出来ぬの…」
「何がです?藤吉郎様…」
「巽殿と藤本殿は分かる!じゃが、小一郎が呼ばれて、何故わしは参列に呼ばれてないのじゃ?」
「藤吉郎様、戦の犠牲者を少なくさせるには、私達の未来の道具が必要です…それを扱える者としてのお呼びなのです…でも、気にしなくてもいいですよ、この戦が終れば必ず藤吉郎様の出番がやって来ますから!」
「う…うむ…」
評定参列は織田家の信頼を得る幹部しかあの広間に座る事が出来ない、自分よりも弟の方が先に参列する事が兄としては嬉しくもあり悔しくもあるのだろう…。
(大丈夫です、この桶狭間が終れば美濃攻略…その時が藤吉郎様の出番ですから!)
こうして俺と浩一、小一郎様は織田家からの指定日に清洲城に登城したのだが、当然ながら身分の低い俺達は広間に座る事を許されず、外の廊下で正座をさせれている。
「凄いな淳一、まだ名前は分からないが、歴史に名を残している人も当然参列してるんだよな…」
「あぁ、勿論…でも、しかし…板の上の正座は…キツイな…」
「た、巽殿?…いったい我らは何の為にここへ呼ばれたのでしょうか?…重臣方の視線がかなり厳しそうなのですが…」
「きっと私達を紹介するのが目的ではありませんか?…イテテ…足が痺れる…」
参列者の約9.5割はどこの馬の骨とも分からない身分の低い俺達に冷たい視線を投げかけていた…森様、そして柴田勝家だけは、何も反応せずジッと瞼を閉じたままだった。
[殿の、おな~~~~り~~~~~!]
欄丸様の一声に、家臣一同頭を深く下げ信長様を迎える姿勢となる、俺達もそれに合わせ深々と頭を床に向け下げていく。
「皆の者!よう集まった!大儀である!」
どうやら皆が頭を上げていく音が聞こえてきたので俺達も頭を上げたが、まだ信長様は座布団には座らず、一の段で凛々しく立ち俺達を見下ろしている!。
「お主らもすでに知っておろう!今川義元が我が尾張を狙っておる事を!…本日はそれにつき意見を聞きたい!」
「お、おほん…殿…恐れながら…評定の前に…この場にはふさわしくない者が紛れ込んでいるようですが…」
「何が言いたい?秀貞!…あやつらをこの場に呼んだのはわしじゃ!」
(秀貞?…あぁ、あの人が林秀貞か…いずれ信長様に追放される人だっけ…)
「と、殿!…この成政も林殿と同じ意見でございます!…今日のような大事な軍議に,素性も分からぬ者を参列させるのはいかがなものかと…」
[おぉ、まさにそうじゃ…]
[林殿と佐々殿の言う通りじゃ]
[わしらも賛同いたしまする、林殿の御意見もっともでござる!]
[殿、御再考を!]
まぁこうなる事は予想出来ていたが、今の俺達は完全にアウェー会場で闘っている日本代表チームの気持ちだった…この場に慣れていない浩一と小一郎様は、この嫌悪に満ちた空気に萎縮していた…。
「殿、皆の意見も拙者と同じのようです!…早々にあやつらをこの場から追い出していただきませんか!」
「えぇい!黙らぬか、成政!この一戦には、あやつらが必要だと殿がお考えになったのじゃ!それに異を唱えるならば、殿の代わりにこの柴田勝家が承る!」
「拙者も柴田殿の御意見に賛同いたしまする!」
(か、勝家…様♪…森様♪)
「よう言うた!勝家!…可成!…よいか!わしの考えに賛同出来ぬ者は、ただちにここから去れ!」
柴田様の怒号と信長様の雷鳴のような言葉に、再度家臣一同はひれ伏した!俺は心からお市様と小雪に感謝した瞬間だった!。
「……誰も去らぬようじゃの!…では、これより今川義元討伐の軍議を始める!」




