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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第5章 桶狭間

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ドローン

「ほぉ~~、巽殿(どの)、これがどろ~んとやらか?」


 昼食を終えた藤吉郎様が興味津々で俺の背後から覗き込んだ。


「えぇ、このドローンが織田家の運命を握っているので、徹底的に整備をしなければなりません!」


「何やら足の少ない蜘蛛みたいじゃの……下に変な羽のようなものがあるの…」


「はい、その羽が回り空に上がります♪」


 藤吉郎様と会話をしながら、俺は何十年か振りの工作作業を始めていた、未来から持って来た画用紙と絵の具を使い、このドローンの見た目が鳶に見えるよう偽装アイテムを作成中である!。


「おぉ、出来る事ならその飛び立つ所を見てみたいもんじゃ♪」


「いいですよ、どうせ試運転をするつもりでしたので、もう少しだけ待っていてください…」


 こうして俺は半刻ほどで[なんちゃって鳶ドローン]を完成させ、近くの川の土手に藤吉郎様と共にドローンの試運転を始めようとしていた♪。


「のう?巽殿(どの)?…こんな張りぼての紙で鳥に見えるかの?」


「空に上がればそう見えると思いますよ…多分…もしまだ足りないなら改善すればいいだけですし…」


「まぁそうじゃの……どれ、早く飛ぶところを見せてくれ♪…」


「分かりました♪」


 ドローンの操作は浩一ほどではないが、俺もそれなりに自信がある!それは何故か?…ドローン人気に便乗しようとその商品を仕入れる計画をしたが、売り手が扱い方を知らなければ話しにならないので、浩一とドローン教室に通っていたからだ!…。


(ま、後日仕入れはしたが全然売れなかったけど…)


「ほう、その手にしている細い(つの)が伸びた四角い箱はなんじゃ?」


「これがドローンを動かす道具です…ま、馬で例えるなら手綱の役割みたいなものですね…」


「どろ~んに触れなくても動かせるとは、さすが未来の道具じゃな♪」


「では始めます!まずは高度の確認から♪」


 ♪シュイィィィィィィィーーーーーーーン!!


 電動系、通信機能、快適マーク、プロポの状態も全てがクリアーだ!…高額で倉庫で寝ていた売れ残りのドローンが、ようやく自分の役目が訪れたと悦びの声を上げているように聞こえる♪。


「おぉ!なんたる勇ましい雄叫びじゃ♪」


「羽ばたけ!ファルコン!!」


「ふぁるこん?…なんじゃそれ?」


「このドローンの名前です♪ファルコンとは南蛮の言葉です、この国の言葉では隼ですね♪私が名付けました♪」


「隼、なんだかいまいちじゃの…わしなら[飛べ飛べ丸]とか[行け行け丸]の(ほう)がカッコイイと思うのじゃが…」


「と、飛べ飛べ?…行け行け?……ぜ、全部却下です!…さ、ファルコンを飛ばしますよ!」


 モーターを唸らせファルコンは地面から離れていく!久しぶりのラジコンに、俺は幼馴染みと遊んだ童心の頃を思い出していた。

 徐々に、徐々にファルコンは優雅に揺れながら大空へと舞い上がっていく!。


「おぉ、あんなに高くまで上がっていくとは!まさに鳥じゃの!」


「久しぶりの操縦ですけど、腕は落ちてなかったみたいです♪…さて、これからが本番!…あの川の先にある集落を今川の本陣だと見立てファルコンを飛ばせます!…勿論、敵の弓など届かない高さで♪」


「その様な事が可能なのか!…」


「では、これから今川本陣の物見(ものみ)を始めます!…行け、ファルコン!」


 ファルコンは川を越え、真っ直ぐ集落に向かい飛び立つ!あの村まで恐らく1キロほどだろう、このファルコンの飛距離性能なら余裕で到達する事が出来る♪。

 俺はファルコンから送られる映像を元に、遊び心を思い出しながらプロポを操作していく。


「な、何と!…そ、その箱に出ている絵は空から見た絵か?」


「えぇ、ファルコンから送られてくる上空からの映像です♪これを参考にしてファルコンを動かすのです♪」


「す、凄い!…こ、これなら…いくら義元が隠れようが、まる分かりじゃの♪」


「そうです!今回の(いくさ)、どれだけ早く義元の居場所を突き止めるかが大きな鍵になります、その為に私はドローンマスターである浩一を令和から呼び寄せたのです!」


 何度かファルコンを村の上空で旋回させ、村全体の様子を録画してから俺と藤吉郎様は記録映像をパソコンで確認する為帰宅した。


「戻ったぞ!小一郎!ちとそなたのパソコンを貸してくれぬか?」


「お帰りなさい、藤吉郎様、小一郎様は何やら用が出来たらしく、奉行所に向かわれましたが…」


「おぉ、藤本殿(どの)、ではちと小一郎のパソコンを使わせてもらいたいのじゃが…」


「えぇ、まだ私が処理をしている最中なので電源も入っていますよ♪」


「それは好都合、では、巽殿(どの)、さっきの村の様子を見る事にいたそう♪」


「どうだった?淳一、久しぶりのドローン操縦は?」


「腕は落ちてなかったぜ、一応近くの村を今川本陣と見立て上空からの撮影をしてきた!」


 ファルコンからメモリーカードを取り出し、俺達3人は撮影した映像のチェックを始めた♪さすが4Kカメラ搭載だけの事はあり、画像解析機能は完璧だった!画面を拡大しても道端で歩く猫の姿まで綺麗に映っている!。


「ふぁるこんとやら、なかなかやりおるな…これなら間者など必要ないの~♪」


「浩一、どうだ?…これなら役に立ちそうか?」


「完璧だな!一瞬で今川義元の居場所を見つけてやるぜ♪」


「おっ!た、巽殿(どの)!…も、もう少し…絵を左に移動してくれ!」


「は、はい…こ、こうですか?…」


「そ、そこじゃ♪…そこをゆっくりと拡大するのじゃ♪」


 俺は藤吉郎様に言われた通り、ある家の裏庭をズームしていった…。


「なっ!」(巽)


「これはちょっと!ヤバいって!」(浩一)


「うひ❤」(藤吉郎)


 そこには塀に囲まれた裏庭で、全裸の若い女性が湯桶に浸かって行水をしている映像が映し出されていた!。

 藤吉郎様はあの小さい上空映像からこのシーンを見つけていたのだ!。


(この人…まじスケベおやじだな…)


「お、おぉ!…こ、これは八重(やえ)ではないか❤」


八重(やえ)?」


「小一郎が好いておるおなごじゃ♪…ほうほう、なかなかいい乳をしておるではないか~❤」


「…小一郎様にバレたら、一生怨まれますよ!…」


「何を言う、巽殿(どの)もおなごの裸体を見れて嬉しいくせにぃ~♪…今はおねらも居らぬし、ゆっくりと八重の姿を……うひ❤」


「うちらが居なくてなんだって!!」


 俺達が後ろを振り向くと、そこには買い物を終えたおねちゃんと(かえで)さんが、仁王立ちで俺達を睨み付けていた!。


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