表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

デート

作者: Hoshi Kaoru

男は今日デートだった。

その女と会うのは初めてだ。

女とはアプリで知り合った。顔の好みや趣味を入力すればAIが自動でマッチングしてくれるので、外れがない。

そのため、今やカップルの2組に1人はアプリで出会う。

 しかしデートになると、アプリの情報だけではない人間的な部分が出てくる。

ここを乗り越えれば、生涯にわたって添い遂げることができる。

そのため、初回のデートは最も重要であるといってもいい。

女は外で会うのは恥ずかしいから店で会おうと言っていた。

男は女の好きそうな店を予約し、今向かっているところだった。

「もうすぐ着きます。」

メッセージを送ると、すぐ女から返事が来た。

「間に合うかわからなくて早く来ちゃったから、もうお店で待ってるね♡」

男の顔に笑みが浮かぶ。

出だしは好調のようだ。

ビルのエレベーターに乗りボタンを押す。

扉が開き店員に名を告げ席へと向かう。

そこに女はいた。

薄いピンクのワンピースに白のやや低めのヒール、肩にかかる長さのやや明るい茶色の髪が白い肌によく映える。

「はじめまして…でいいのかな。待ちましたか?」

「いいえ、今来たばかりです。お会いできてうれしいです。…なんか、恥ずかしい。」

そう言うと、女は恥ずかしそうに目を伏せた。

男はおおいに酒を飲み、料理を食べ女と話した。

女もよく笑い、ころころと表情を変え男の話に聞き入った。


「すみません、ラストオーダーのお時間です。」

「楽しい時間はあっという間だね。」

「そうね、でも私はまだ一緒にいたいな。」

「僕もだよ。それじゃあ場所を変えようか。雰囲気のいいバーが近くにあるんだ。」

男は女の手を取りレジへ向かった。

「お会計は1万6480円です。」

その声が終わるよりも早く男は言った。

「それじゃ8240円だね。ここは僕がカードで払うからとりあえず現金でちょうだい。あ、もしちょうどなかったらとりあえず1万もらってあとで差額を返すか、ここで両替してもらうけどどっちがいい?」


その夜遅く、男は一人でバーにいた。

ケータイを開きアプリを起動するとそこに女の名はなかった。

男はウイスキーを飲み干しつぶやいた。

「全く最近の女はろくでもないな。年金暮らしなんてお互い様だろ。いい歳していつまでも初デートは男がおごる、なんて古い価値観持ってるんじゃないって…。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ