思いそして 〜魔王と勇者と〜
“魔族は傲慢であれ”己より、下の者を哀れに見下し、己より猛き者には同等の目線であれ、そして、魔王となれ、、、
昔から、魔族は誰に教えられたでもなく、そう言われている。初代の魔王が言ったのか、全く知らない存在に言われたのか、はたまた本能なのか、それを知る者はいない、しいていうのなら、この世界を作った存在だろう、、、。
私は最初、何も無い荒野で目が覚めた。何ということはない、魔力の化身とも言われる魔族にはよくあることだ。
私は目が覚めてすぐ、
「お腹、、、すいた、、、」
そう思った。そして、魔族には基本秩序という物はない。世界に生まれてすぐに食い殺されるなんて日常茶飯事だ。
勿論例外なんてない。そして、私は強かった。私は襲ってくる他の魔族達がただの食料としか見えなかった。
「ご飯、、、」
身体が本能のままに狩りをする。そして、食らう。その時の私は1番純粋な魔族だっただろう。
襲いかかってくる。何体もの魔族、全てはただの食糧だった。腹が空いたら食べられるだけの存在だった。
ただ、ある時、変わった魔族が現れた。
「あの、、、」
「?」
「私を殺して下さい」
「?どうして?」
「どうしてって、、、私、、、もうこんな所にいたくないんです。毎日殺しあって、毎日共食いをしあうなんて、、、もう嫌なんです、、、。こんなことをするのだったらもう死んだ方がマシです。」
その時、私は満腹であり、食べたい気分でもなかった。だから私は、
「お腹空いてない、、、いらない」
「そんな、、、私なんだってしますから食べてください!」
「、、、」
「お願いします」
「私の知らないこと、、、知ってる?」
「!、、、はい!」
その時は、ただの気分だった。気分でその魔族を近くにおき、面倒なことを押し付けることにした。食糧探し、周りのこと、他の魔族のこと、ある程度の知識も教えられた。いつの間にか、彼女を食べる意思何てなくなっていた。
「あの、、、名前ってあるのですか?」
「名前?」
「もしかして名前もないのに、アレだけの強さがあるのですか?」
「?」
そして、魔族はある一定の強さを有する者は皆名前がついているという。勿論、名前なんてなかった私は彼女に驚かれた。
「でしたら、、、私がつけましょうか?」
「つけるの?」
「あっいえ、、、すみません!食糧の分際で名前をつけようなんておこがましかったです」
「良いよ」
「え!?」
「特別に付けて?」
「良いのですか!?でしたら少しお時間をいただけませんか?」
「わかった。ご飯持ってくるから待っていて」
「!分かりました!」
私はその時、何故か胸の内がとても暖かくなった気がした。
「今夜はご馳走、、、」
そして狩りをした。奮発した。とても満足しているようだった。空腹が満たされた訳でもないのに、、、
その時までは、、、。
「どう、、、して、、、?」
目の前には今にも死んでしまいそうな彼女がいた。
「あはは、、、すみません、、、自分の弱さを、、、忘れて、、、いました、、、」
「喋ったら、傷開く!」
「心配、、、して、、、下さるのですか?」
「いいから!えっと、、、どうすれば、、、えっと、、、」
手が震えて、身体が震えて、声が震えて、、、ただ、オロオロとしている自分がいた、、、。
「泣かないで、、、下さい、、、」
「え、、、」
気づいたら目から水が垂れていた。少し口に入ったソレはしょっぱい。
「名前、、、」
「名前、、、?」
「考えたのです、、、」
「そんなの今は!」
だけど彼女は続けた。
「マリス、、、マリス様、、、です。リスのように小さく、、、可愛いらしく、、、いずれ、、、魔王様になられる、、、はず、、、ですから、、、強く、、、」
「うん、、、うん、、、ありがとう、、、」
その時、私はただ、冷たくなっていく白い手を握ることしか出来なかった。そして、、、彼女は動かなくなってしまった、、、。
「最後まで、、、言ってよ、、、」
それから私は、魔王と呼ばれるために強くなった。
多くの魔族を殺し、さまざまな知識を蓄え、いつの間にか、部下を持つ、次期魔王となった。
「うっ、、、夢、、、?」
久しぶりに夢を見た。あの魔族と出会ったこと、次期魔王になったことだ。
「随分うなされていたけど、、、大丈夫?」
「シア、、、?」
「疲れ、もう大丈夫?寝れた?」
『ガチで言ってます?マリスが一緒に寝たいと言ってきたのですよ?』
「そうだっけ?」
『お酒が少々入っていましたからね〜ってか次期魔王様でもお酒飲んで倒れるんですか?』
いやいや、アピも武器なのにお酒飲んで倒れそうになってたからね??
「マリスこそ大丈夫なの?」
「大丈夫」
「そっか」
「シアこそ、、、その、、、」
「新しい戦力のこと?アレは多分四天王なら一対多数で戦っても話しにならないと思うよ」
「そうじゃなくて、、、」
「ソラちゃんやユイナちゃんのこと?」
「、、、」
「大丈夫だよ。2人とはお別れもしたから、、、2人なら冒険者として名を挙げると思うよ。」
「そっか、、、」
この日以降、私とシアは2人の話をすることは無くなった。
2人は前から冒険者として、魔族にも広まり、単身で乗り込んであえなく返り討ちにあう魔族も現れ始めた。
シアは、少し大きな戦い一つで漆黒の悪魔と言われるほどになった。
「シア、、、凄い、、、」
「全然嬉しくない、、、」
『本当です!マスターは漆黒ではなく純白ですよ!!』
「アピ?そういうことじゃないよ?」
私もそろそろ魔王として正式に名を挙げておいた方がいいのかもしれない。
目の前の少女は転移して去ってしまった。
「これからもその調子で頑張ってね」
「「シア!」」
「そんな、、、」
「許さない、、、こんなことでお別れ何て、、、絶対に、、、」
ソラちゃんと私はその時、もっと強くなろうと思った。もっともっと強くならなくてはならない。そう思った。
前にシアちゃんと出会ってから数ヶ月の間に、私達は様々なことをした。フォンと協力して、エルフとドワーフの仲を取り持ったり、数多くの〈巨大災害級〉の魔物を討伐し、世界には勇者と正式に発表する前に多く知られた。
それでも私達はまだ、弱いと思う。シアと正面から戦い、安心させることはまだ難しいと思う。私もユイナも前よりは強くなった。
これでもシア相手に戦えるのかわからない。
絶対にシア(ちゃん)を安心させる。
また勇者が現れた。魔王も現れた。私の計画を邪魔するかのように、、、女神よ、、、そんなに私が神になることを拒むのか?世界を救ったのは他でもない私なのだぞ?私が救った世界なのだから私の思うがままにしても良いのではないのか?だが、私はな、とうとうなし遂げたのだ!人である私が!神になるための手段を得たのだ!この日をどれだけ待ち望んだことか、、、ちょうど良い、、、次の戦、、、アレを使おう。研究所が事故とはいえ、封鎖してしまったがアレを手に入れることができた!さぁ待ってろ!私の時代の始まりだ!!
「ガッ、、、貴様、、、何故、、、」
「恨むのなら、己の強欲さと傲慢さを恨むのですね、、、元初代勇者様、、、」
やっとスキを見せてくれた、、、この人は腐っても元勇者、、、もしもの保険も容易周到、全てを破壊するのは少々骨が折れました。何ですかコピー素体って、、、。
何て哀れな人、、、私を利用しているつもりだったのでしょうがもう私は、誰かのモルモットでもなんでもないというのに、、、
「最後くらい、もう少し働いてもらいましょう、、、ふふふ」
最後に笑うのは私です。
おやおや〜これはまたこれはまた、、、マイエンジェルに教えておいた方がいいのでしょうか?いやでも、優しく慈悲深い私です。今回は彼女自身の身に降りかかった不幸に免じて、見なかったことにしましょう〜嗚呼、何て優しく慈悲深い私なのでしょうね〜。




