思いそして 〜勇者と聖女と〜
巨大な爪が振り下ろされ、同時に闇の魔法が飛んでくる。しかし、振り下された爪は腕と共に斬られ、闇の魔法は別の魔法で撃ち落とされ、真上から炎が貫く、貫かれた背中は驚異的な再生を見せるも鎖に繋がれ、その巨体よりも遥かに巨大な光の刃によって跡形もなく、チリ一つ残さず消し炭にされる。
「流石勇者様!!」
「あのキメライヤを!!」
「聖女様の魔法や剣聖様の炎も美しい!」
周りで見守る、、、いや、手出しが出来なかった兵士達は、安堵、尊敬と言った声を漏らす。
「ふぅ、、、」
「流石ソラちゃんだね〜」
「つい先月まではまだ私の方が動けてたと思うんだけどなぁ〜ちょっと妬けちゃう」
「いやいや、そんなこと言いながら、、、さっきの不意打ちがなかったら大変でしたよ?」
「そう?ありがとう〜ユイナちゃん」
「ユイナのいう通りアリヤさんがいなかったらもう少し手こずってたから本当にありがとうございます」
「ふふ♪機嫌取りが上手いね〜ソラちゃん達〜」
「本当ですよ?」
そして、3人は兵士達と別れ、宿に移る。専用の宿に行くことも出来るのだが、、、こういう方が気持ち的に楽だった。そして、部屋に入るやいなや、
「ふぅ〜疲れた〜!」
「ソラちゃん布団に飛び込むのは危ないよ〜」
「やっほぉ〜い!」
「アリヤさんも、、、」
「こら!アリヤもソラちゃんもユイナちゃんが困ってるでしょ!」
「「は〜い」」
「全く、、、ユイナちゃんも軽い魔法で殴るぐらいはしてもいいんだからね?」
「アッハハ〜」
「カエデ〜お腹すいた〜!」
「はいはいアリヤのご飯は抜きね〜」
「そんなぁ〜そこをどうにか!」
「じゃぁソラちゃんと一緒に少し反省しなさい」
「えっ!?私も!?」
「抜きにはしないけど反省しなかったら減らすわよ〜」
「ソラちゃんだけズルくない!?」
最近は魔物の討伐後によくある光景であったりする。カエデさんはあんな感じにいうけど最終的に皆仲良くお腹いっぱい食べさせてくれる。
カエデさん自体はAランクぐらいの一般上級冒険者ぐらいの実力を持っているのだが、私達の身の回りの世話に加え、他国の人との交渉、移動手段の手配、私達が知らない国でのサポートなどをやってくれる。
冒険の最初はアリヤさんが他国でのサポートをしてくれる予定だったのだが、、、悪くはないのだけどそれ以外が色々と危うかったので、、、
アリヤさんとの顔見知り(制御)ということもあり一緒に行くことにしてくれた。正直、日常生活的に立場が1番上なのはカエデさんである。
「そういえばさっ」
「?どうしたのソラちゃん」
「シアちゃんがいなくなってから相当時間が経ったよね、、、」
「そうだね、、、」
「元気にしてるかな?」
「どうだろうね、、、」
シアがいなくなった後、私達は2人でダンジョンに入って強くなろうとしていた。
そんな時、偶然アリヤさんが見知らぬ研究所のような物を見つけたと教えてくれた。
私達はどうしても行かなくてはならない気がして、その研究所に行くことにした。
転送魔法陣の近くには異様な溝があり、巨大な骨もあったそうだ。そして魔法陣を通ってみると異様な空間に入った。
壁には窓という窓がなく、古い血痕の後や、人骨、いくつもの扉はどれも錆びていた。
錆びた扉の中はこれまた異様な空間、人1人入れそうなガラスがいくつもあった。
他の部屋には壊れた牢獄の後なんかもあった。
探索していると1つ、どこの扉と全く違い、錆びが1つもなく、新品同然の扉があった。中には様々な資料が多く存在していた。
「何、、、これ、、、」
「ソラちゃん、、、」
「私から離れないでね」
資料には、、、「強化戦闘兵士研究、実験体の肉体が追いつかず、暴走によりサンプルとしいくつか残し中止」、「魔物と人体の掛け合わせによる変化の観察及び研究いまだ良好」、「人類の神化に至るまでの術式」、「神化計画」、「古代神話級武器兵装の取得の成功」、
といったような何とも不気味な資料がいくつもあった。
「ねぇユイナこれって、、、」
「どうしたの?」
「「!!」」
2人が目にした資料は、
「神化計画」、、、珍しい魔力を持った奴隷少女を入手、その魔力は今まで我々が見たことのない魔力属性を持っていた。
本来なら人間にはそれぞれ得意不得意の魔力属性を有し色がつく、炎なら赤、水なら青、風なら緑、光なら白、闇なら黒というように、だが少女は透明であった。しかもその魔力は他者の魔力を加え、混ぜ合わせることが出来るということを確認。自身のスキルを使用する。魔力術式を直接変更、構築が可能。したがって利用し、魔物など多種の種族の特徴を魔力術式に変更し、少女の抽出データに加える。結果、失敗、抽出データにも容量のような物があるということを発見したがデータは消失、全て均等ではないことを確認。
幾つかの実験を終えた後、見方を変え、少女の勉学と身体の健康を気にしてみる。結果は成功、容量が明らかに増強。良好な健康状態と幸福であるという条件有り。継続。
神話武器を入手、少女に自我が芽生え、データにもバラつきを確認。神話武器の解析、解析不可、別紙参照。神話武器の魔力保存術式を僅かに再現、データに加える。結果、成功。
少女は物覚えがよく洗脳済みで信頼できるので助手として研究に加わる。結果、全体データが良好。
本研究所は特に良好、人体を形成、
魔力量 計測不可
見た目 一部人外の羽を有する 基本的人型 データ 参照の白銀の髪
中身(参考) 人体の急速な再生 基本的本能(空腹、睡 眠など)を排除 感情を排除 殺戮衝動
無意識に結界を形成
(強化器具を使用すれば意識外のみ1部破壊可)
制御術式を加えるかは要検討中
記録はここで終わっていた。
「「、、、」」
正直言葉が一つも出てこなかった。羽があったのかは覚えていない。ただ、マリスの発言やシアの1部の特徴が一致していることからシアのことのような気がしてしまう。
「まさかこんな形で再会とはね、、、」
「「!?」」
いつの間にいたのか背後からつい先日に自分達から姿を消した本人がいた、、、。
「どうやってここに、、、ってのはどうでもいいよね。これじゃせっかく、、、」
「シア、、、」
ソラは次の言葉が出ないでいた。ここにシアがいることが動かぬ証拠だというのに、、、それでも認めたくない自分がいた。
「その資料のことは本当だよ、、、証拠に」
そして、シアの背中に白く美しい羽が現れた。その美しさが逆に、、、
「どうして、、、いなくなってしまったのですか?」
ユイナが質問する。
「この際もういいかな、、、私はねいつか2人を殺してしまうからだよ。その資料にある通り、感情が消えて、最終的にただの殺戮兵器になるだけだからね」
「そんな、、、本当に、、、」
「本当は2人に知られずに終わりたかったのだけどね」
「わよ、、、」
「?」
「許さないわよ!勝手に自分で決めて、勝手に消えようとして、勝手に私達を助けて!勝手に自分で終わらそうとして!!」
「、、、ごm」
「絶対に許さないわよ!!私は勇者よ!シアを助ける力があるかもしれないのよ!?助かる可能性だって、、、それなのに初めっから諦めようとするんじゃないわよ!!」
「ごめん、、、最後に会えてよかったよ、、、」
転移を発動しようとした時、身体が光りの鎖で拘束される。前よりも頑丈で、しかも私の周りだけに転移阻害の魔法が展開する。
「ソラちゃんのいう通りです。私も聖女です。例え、シアちゃんが暴走しようと、どこか1人でいなくなろうと私達で今みたいに止めます、、、だから、、、」
「「私達を信用して戻ってきなさい(きてください)!」」




