勇者と聖女と 〜あれは、、、〜
戦闘の準備中、ミケさんに〈巨大災害級〉の魔物の話を聞きながら作戦を立てていた。
「〈巨大災害級〉の魔物は範囲に入らなければ攻撃はしてきません」
「だから被害があまりなかったの?」
「はい、ですが、、、」
命令がなかったらどれだけの被害が出ているのか、、、。全員、言わなくても察しはついてるようだ。
『ちなみ範囲はどの位ですか?』
「それは私が」
手を挙げたのは、もう1人の銀髪猫耳美少女であった。
「彼女はシルバ、騎士団副団長です」
「副団長とはいえ、後衛ですが」
「私はシルバの作戦によく助けられる。今回、死者が少なかったのは、シルバの撤退作戦があったからだ」
「少なかった、では意味がないです。私の場合は特に、、、」
「シルバ、、、」
ただの戦いではないのだから死者が出るという事はよく分かる。しかも相手は、〈巨大災害級〉といわれている歩く災害の魔物だ。それなのに死者がほとんど出なかったのは奇跡ともいえる。というのに、彼女は自分を責めすぎではないのだろうか?
「私は、、、数分先の未来を視認する事が出来ます。なので、分かっているのなら、死者が出ない作戦を立てる事が出来たはずです。なのに私は、、、」
「戦いなのだから死者が出るのは必然だ。 我ら騎士団も、絶対はない、それを承知の上でシルバの作戦を実行している。お前が気に病む必要はない」
「ですが、、、」
「確かにミケのいう通り戦い、しかも相手は、〈巨大災害級〉の魔物なのですから死者も出ます。最悪、撤退すら出来ず全滅する事もあり得ました。そうならなかったのはシルバの作戦があったからです。シルバ、それでも後ろめたいというのなら、死にいった仲間の無念を貴方の目とその作戦で仲間達を葬いなさい」
「姫様、、、分かりました!」
まじか、残念姫様が姫様をちゃんとしてる!?
感激してしまいそうと思ったら、フォンが耳元で、
「どうですか?惚れましたか?、、、アイタッ」
無言のデコピン、さっきの涙を返せ!泣いてはいないけど、、、
アピがやれやれという感じに両手を動かした。幸い、ミケさんとシルバさんにはバレていなかった。
「少し取り乱しました。魔物がいるのはこのあたり、そして、範囲は魔物を中心にこのようになっています。」
地図を見せて教えてくれた。
「案外、狭い」
「はい、ざっと半径30メートルぐらいです。」
案外近づいても大丈夫らしい。
「続けて、特徴ですが、魔物の再生能力が非常に高い事です」
「今回、我らが撤退した理由はそこにある。いくら破壊してもすぐに再生してしまう」
「無尽蔵にですか?」
「あぁ、腕や足を切り落とし、首を刎ねても再生した時はみな顔が真っ青になった」
「首も!?」
そんなに無条件に再生能力が高いのならもうどうしようもないのでは?
「キュクロプス、、、」
「え?」
「巨大ゴーレムともいわれる魔物、核を破壊しない限り永遠に再生する、主の命令は絶対、、、」
「マリス、どこでそんな事を?」
「本屋、〈巨大災害級〉大辞典にあった。」
え?何その◯竜大◯典みたいな本、そんな物がここにあるの??
混乱している全員をみてマリスが付け加える。
「冒険者試験、筆記、〈巨大災害級〉問題、でた。」
「「あっ、、、」」
え?まじ?筆記あったっけ?
『そういえばマスターの時は、アリヤ様との模擬戦だけで実力を認められてましたからね、、、』
そういえばアリヤさんって相当な実力者だった、、、なるほど、普段の仕事以外での残念キャラが残念すぎて忘れてた。
2人は思い出したという感じだった。
「なるほど、キュクロプスと言われればあの回復量に説明がつくな、、、本との見た目があまりに違いすぎて気付かなかった、、、」
「キュクロプス、多種多様、仕方ない」
そして、相手が〈巨大災害級〉のキュクロプスと分かれば対処の方法が分かった。
まず、キュクロプスの注意を引きながら、核を探し、それを破壊、シンプルだがこれが中々難しい。
「本来のキュクロプスは巨大な一つ目の人型に近いが、今回のキュクロプスは4本の腕、巨木のような足に重装備のような丸めの身体を持っている。しいて特徴が一致しているとすれば一つ目ぐらいだろう、それも、緑色の丸い目だがな、、、」
正直今、頭に思い浮かぶのが、ガ◯ダ◯のジ◯しか出てこないのだが、、、まぁ、見たら分かるか!
そして、作戦を実行する。役割は、マリスと私、後衛からシルバさんが魔力通信で状況報告し、キュクロプスのヘイトを取り、後ろからソラちゃんとユイナちゃんがキュクロプスの核を探し、破壊する。フォンは、範囲外から援護射撃し、ミケさんが護衛という形になった。
「アレがキュクロプス?」
「ごっつい」
「だっ大丈夫、、、かな、、、」
「私達がしっかり注意は引きつけるから」
『もしかしたら先に核を破壊するかもしれませんけどね!』
「シア様!頑張って下さい!」
『何故マスターだけなのやら、、、』
「まぁまぁ、頼りにしてるよアピ」」
『はい!』
「健闘を祈ります」
作戦を実行する。まず最初に私達が範囲に入る、すると、キュクロプスはすぐに鋭利な大岩を飛ばしてくる。
『いきなりですか』
「邪魔、、、」
「まぁ抑えて」
マリスが魔法障壁を出す。本来なら出す前に跡形もなく破壊することも出来るだろうが先に釘を刺しておいた。最終的にやばそうなら、と言って納得してもらえた。
「少し実験してみようかな」
「?」
そして、目の前にビー玉くらいの黒い球を出し、それを飛んできた岩に向けて放つ、すると岩が球に当たった瞬間、岩がエグれるように破壊された。
「今のは?」
「空間魔法で飛ばした」
「なるほど」
これだけで理解できるのが凄い。さっきの球は小さな別空間である。その空間には中心に向けて重力が集まっており、その空間に何かが触れるとそれは超圧縮され、消える。いわば小さいブラックホールのような物だ。
(馬車旅で少し1人になれる空間が欲しくなって
〈スキル:空間生成〉を作成したのはいいものの、これ魔力相当使うし、範囲が決まってるし、制限付きだしであまり乱用できないんだよね、、、)
ウォール国王との会話で、時間を止めたと言ったが少し違う。指定した相手以外の思考を止めただけだ。それでも、一瞬、目まいがしたのだが、そこは気合いで耐えた。私、偉い。
だが、〈空間生成〉はビー玉くらいの空間だったり、単純なら、魔力もそこまで使わないで作れる。さっきのようにミニブラックホールみたいな物だ。
「そろそろ行けそうかな、、、」
『あの2人なら大丈夫でしょう』
「時期勇者との戦い、楽しみ、、、」
もしかして、この次期魔王様案外バトルジャンキー?
「もしかして、マリスがついてきた理由って、、、」
「?シアの勧誘、暇つぶしに次期勇者の観察」
「へぇー」
それでいいのか次期魔王よ、、、言っちゃ何だが命を狙ってる相手だからね?
そう会話してる内に、ユイナちゃんの準備ができた。キュクロプスは気付いたが一歩遅かった。
いくつもの魔法陣がキュクロプスを囲み、それぞれから光の鎖が現れ、キュクロプスの手足を拘束する。
そして、光の柱が現れ、キュクロプスを包む。
「ソラちゃん!」
キュクロプスは装甲が削られ、コアらしき赤い塊が出ていた。コアを中心に再生が始まる。
「これなら!」
ソラちゃんがキュクロプスの胸あたりにあるコアを貫いた。キュクロプスの再生が止まり、崩れ落ちる。
「ふぅ、、、」
「本当に、、、」
「凄い、、、」
ミケさんとシルバさんは驚きを隠せていなかった。
「なんとかなってよかった、、、」
ソラちゃんが安心した時、
「まさか、キュクロプスを討伐してしまうとは、これは予想外ですね」
「「「『「!?」』」」」
その場にいた全員が驚く。
「どうも初めまして、、、とはいえ、シア様達には私の顔はもう知られているでしょうね」
「「『「、、、」』」」
「どうしましたか?驚きで声が出てきませんか?まぁそれはそうでしょう何せ私は、、、」
と悪魔が自己紹介しようとすると、
「誰?」
「ユイナ知ってる?」
「いっいえ、、、シアちゃんは?」
「全く知らない」
『私もマスターと同じです』
「な!?私を知らないだと!?」
全員が頷く。例外を出すとするなら、フォン、ミケさん、シルバさんはずっと警戒しているぐらいだ。
「私こう見えて何度も貴方方と正面から話したことがあるのですが、、、?」
「?」
「あんな奴いたっけ?」
「さっさぁ、、、」
「正体不明」
『初対面ですね!』
「そんな、、、!もしかしたらこの姿だからかもしれませんね!これならどうですか!」
すると、悪魔が見た目を変えた。服装は、、、なんで私達の村のギルド服?
「これならどうですか?ピンときたのではないですか!?」
「誰?」
「ギルド服に似てるけど、、、分からない、、、」
「どっどちら様でしょう、、、」
「どこかで見たことあるような、、、」
『本当ですか?』
「でも、、、ごめん、分からない」
「なぁああ!?嘘ですよね!!絶対嘘ですよね!?何度も話した事あるじゃないですか!?ちょっと!?」
喚く悪魔を見て、全員首をかしげる。ミケさん達もだんだんと同情する眼差しになって行く。
「私ですよ!私!受付ギルド職員のウギョルですよ!!?」
「ウギョル?」
「いたっけ?」
「いたような、、、いなかったような、、、」
「あっ!そういえば特徴という特徴が全然無いギルド職員が!!」
「、、、」グサ
『言われてみれば!特徴という特徴がない人がいましたね!』
「 、、、」グサ
「特徴がない、、、あ」
「グ、、、」グサ
「そういえばいたわね!全くもって特徴所か影も全くなかった奴!」
「グハ、、、」グサグハ
「そっそこまで言わない方がいいと思うよ?でも確かにいたね。普通で特徴という特徴が無くってモテなさそうな人、、、」
「グハァ」グサグサグサ
この時には、もう悪魔は両手両膝を地面について、頭を項垂れていた。てか、最後のユイナちゃんが言った言葉が止めだったね。悪魔が哀れに思えるよ。同情はしないけど、、、。
フォンとミケさんとシルバさんはもう、哀れみの目が凄かった。そして、その目が悪魔の傷に塩を練り込む。
「、、、確かに昔から同じ悪魔や魔王様にさえ、全く特徴が無くて忘れやすいって言われてたけど、まさかここまでとか思わないじゃん。ずっと毎日挨拶してるのに忘れるってなんなの?まじありえないんですけど?まじ萎えるわ〜まじ病むわ〜まじ無いわ〜」
オーバーキルだったのか急にメンヘラ化した。いや、少なくとも今は青白悪魔男のメンヘラとか需要ないのだが、、、。どうしよ、こいつ、、、。
「あの〜、そろそろ帰って欲しいんだけど、、、」
『そうですね、面倒です。」
「今のうちに討伐する?」
「まぁ、、、それがいいかもしれないね」
「なら、私が止めを刺そう、、、情けだ一瞬で終わらす。」
「え?何?戦うの?うわぁ〜いじめだ〜いじめは良くないんだ〜ありえないわ〜」
そして、悪魔、、、もといウギョルが立ち上がる。
「そうだ!これで勝てば覚えられるのでは?よし、そうしよう!、、、せいぜい私の踏み台になるのだなぁ!!」
情緒不安定のメンヘラ敵悪魔男ってどうなの?
「我らが姫に手を出そうとしたのだ。覚悟は出来ているのだろうな、、、?」
すると、ミケさんの雰囲気が一気に変わる。魔眼で見ると、魔力が急激に上昇していた。
「あれは、、、?」
「ミケ団長の〈スキル:憤怒魔力強化〉です。相手に対する怒りを魔力に変換します。そして、怒りが強ければ強いほど強化されます。」
「それって冷静でいられるの?」
「はい、本人は至って冷静です。それでも周りからみれば冷静さを失っているように見えますが、、、。」
「ミケは団員やお父様含めて、怒らせると恐ろしいことで有名ですね、、、」
まさかあの国王でも怖がるとは、、、女性を怒らせる物じゃないね、、、。
勝負は一瞬でついた。素早い動きでウギョルの背後に回り込み貫き、すぐさま切り上げ、両腕両足、そして、首を落とす。
「こんな、、、ことが、、、しかし、これで終わると、思うなよ、、、」
「寝言は寝ていえ」
ウギョルの頭を刺し、動くこともなくなった。ただ、
「!?こいつ、、、全員離れろ!」
全員がすぐに理解し離れる。ミケも同様に回避するとウギョルが爆発する。全員無傷だった。
『最後まで面倒な奴でしたね』
「うん」
分かってますよ!今日は出番がn




