真実の愛!
俺は初めての友達が出来て嬉しかった。
豆太とハム子で色んな場所に行った。
ドックランにも行ったし、公園で散歩をしたり、川でみんなで泳いだりした!
街でドックカフェでのんびりDVDを見て過ごしたり、お家でわんこ鑑賞会をした。
思えば俺は昔から男の友達と遊ぶ機会がなかった。
なぜか嫌われていたり、のけものにされていた。
女の子はたまに誘ってくれたが、大体幼馴染が現れて……俺は幼馴染と妹としか出かけた事がなかった。
そういえば、ハム子は待ち合わせの時は汗だくだったり、血だらけだったりしてるな……
聞いても転んだだけ、としか答えてくれない。
(――いい加減、信用してあげろ! お前の作られた鈍感力はもうやめろ!)
――うるさいな……分かってるよ……でも怖いんだよ……
だってハム子はとってもいい子なんだ。
もしも、本当は俺の事を騙していたらと思うと……
(――バカ! あのハムスター顔を見ろ! 何も考えてないだろ!)
ハム子はいつも俺に笑いかけてくれる。
お弁当も段々うまくなっていた。
わんこをこよなく愛していた。
悲しい事があっても辛いことがあってもいつも笑顔だ。
最初こそ、俺にいたずら告白をしたけど……
(――おい、それは本当にいたずらか? よーく考えてみろ。――あの時のあいつの顔を、あの時の真剣さを)
――いたずら?
俺はなんで勘違いしたと思ったんだろう?
原初は幼馴染のいたずら心だったはずだ。
そこから俺の心は壊れたのか?
(――そうだ、思い出せ。お前は本当は凄いやつだ。)
――さっきからうるさいな!!
ハム子と友達になってからだ。こんなにも自問自答して、心が騒ぐなんて……
だけど……段々俺の心が柔らかくなっていくのが分かる……
俺は妹に相談するべく、妹の部屋のドアを開けた!!
「友梨!! お兄ちゃんは迷子だよ! 助けてくれ!」
「ひぇ!? お、お兄ちゃん!! ノ、ノック! ノック!!」
全裸で椅子の上で正座していた妹が、椅子から転げ落ちた。
俺は妹が落ちる前に颯爽と受け止める。
「あ、ありがとう……」
「……服着るか?」
俺はなぜか罰として妹の着替えを正座で見る羽目になった。
「というわけなんだ」
「え!? お兄ちゃん……ハム子さんの事好きなの? ……うーん、私的には私と結婚してほしいけど……」
「お前は妹だ。結婚はできない。だがな、お前が結婚するまではずっとそばにいてやる!」
「う、うん! 嬉しい! だって妹だったら合法的にずっと一緒にいられるもん!!」
俺は妹の頭を撫でつつどんどん話をした。
「ハム子の事を……好きなのか? そして俺は自分に自信がない。……どうしてもみんな俺を騙していると思ってしまう」
「はぁ……あの女豹悪魔のせいね……おにいちゃん!」
俺は背筋を伸ばした!
「はい!」
「お兄ちゃんは世界一カッコいい! 頭も良いし、スタイルいいし、運動神経バツグン! ――恵理さんはお兄ちゃんを誰にも取られたくなかっただけなんだよ!!」
俺は思考が停止した。
「へ?」
「はぁ……いずれ分かると思うわ。……私からは、お兄ちゃんは自分の心に従って動けばいいのと思うよ! 恵理さんや、その配下のモブ男子の言うことを聞いちゃだめだよ」
なぜか妹の言葉が胸にストンと落ちた。
俺は嬉しくなって妹を抱きしめた!
「友梨! ありがとな!! お兄ちゃんスッキリしたよ!! ハム子と会って色々話してみるよ!」
「きゅ〜〜!? は、鼻血が……」
俺はスッキリした気分でとりあえず、豆太の散歩に行くことにした。
リードを持つといつも飛んでくる豆太が俺の前で動かない。
真っ直ぐな瞳で俺を見据えている。
「――わん」
「どうした? 散歩行きたくないのか? あ、サブと一緒がいいのか?」
豆太が首を振って一鳴きした。
「――わん!!」
俺の心に響く鳴き声。
――あ、これって豆太なりの激励? さっきの妹の話し聞いてたのかな?
「――豆太、分かったよ。俺、ハム子とちゃんと話してみるよ……少し怖いけど、きっと大丈夫。ありがとな!!」
豆太はしっぽをフリフリさせて柔らかい鳴き声を上げた。
「わん」
俺は一人でハム子に会うことにした。
スマホでハム子に連絡をする。
いつものドックカフェに集合の約束が出来た。
――俺は柄にもなく緊張している。
ゆっくりと歩いていると、どこからとも無く幼馴染が現れた!
「ねえねえ、なんで最近遊んでくれないの!!」
幼馴染の恵理が道のど真ん中で叫びながら俺の胸に飛び込んで来た。
俺は静かに幼馴染の身体を引き離した。
「恵理。そんな事しても俺は勘違いしないよ? ねえ、もうやめないか?」
恵理は驚きながら顔を上げた。
「……後には引けないのよ……私が初めに騙したばっかりに、直樹が拗れてしまって……でもカッコいい直樹の事を好きになる女の子が許せなくて」
俺と離れた恵理は仁王立ちをしている。
「これはあんたの勘違いでも鈍感でもなんでも無い! 私はあんたが好きだったの!! 今でも好きなの! ……でも……私のせいであんたは絶対それを否定する心になっちゃったんだね……」
泣きそうになる幼馴染に近づいた。
「俺は……恵理の事を幼馴染としか思っていない。好きでも無い。嫌いでもない。――普通だ! 俺は逃げるのを止めた。もう勘違いするのを恐れない!! 済まない恵理! 俺はお前と付き合えない!!!」
恵理は乾いた笑いを上げた。なぜか心なしか嬉しそうだ。
「ははっ……初めてもらえた本気の答えね。すっごく悔しいけど、なんかスッキリしたわ……直樹、ありがとう。――そして本当にごめんなさい……」
「ああ、これ以上言葉はいらない。じゃあ、また明日、学校でな!!」
涙を拭きながら、恵理は今まで見せたことが無い素敵な笑顔で俺を見送ってくれた。
振っておきながら、不覚にもドキッとしてしまった!?
「……うん、ばいばい!!」
恵理はまるで憑き物が落ちたみたいに晴れ晴れとした顔をしていた。
俺はそんな恵理に見送られて、ハム子の元へ走った!
……いた!!
ハム子は一人でドックカフェのテラス席に座っていた。
愛犬サブはいない。
「はぁはぁ……悪い、待たせたな……」
「はむぅ!? だ、大丈夫です! むしろ、先輩大丈夫ですか? はぁはぁ、してますよ?」
「問題ない」
ハム子は純粋な瞳で俺を見た。
「それで話しってなんですか? 今度の山歩きの事ですか? へへ、凄く楽しみです!!」
――こいつは俺の事が好きなのか? 告白をしてきたけど、一目惚れというものが俺にはわからない。
だけど、おれはコイツと過ごした日々を忘れられない。
唯のハムスター娘だと思っていたけど、とても愛嬌があって可愛くて、一緒にいると胸がドキドキする。これは……好きってことなのか?
――わからない。俺はわからない……だから俺は!!
俺は叫んだ!
「ハム子!! いや、萌!! 俺はお前の事が好きなのか!!!」
「ええええぇぇぇぇぇぇ!!!! ちょ、ちょ、ちょっと何言ってるんでしゅか!!!」
萌の顔が爆発しそうになるくらい赤くなる!!!
「あ、いや、すまん。ちょっと先走りしすぎた。――俺は恋がわからない。自分に自信がない。自分が好かれていると思えなかったんだ」
ハム子は顔を赤くしながらも、静かに聞いてくれる。
「――怖かったんだ。自分が心を許した瞬間、裏切られる事が……。何度も何度も裏切られた。その度に俺はもう勘違いしないって誓った」
「萌……俺はお前を信用していいのか? あの時のお前の『しゅき』って言う言葉を信じていいのか? もしかしたら俺と友達になって好きじゃなくなったりしたか?」
萌は慌てた。
「せ、先輩……ちょっと落ち着いてくださいね。――ハム子は……先輩に一目惚れでした。……友達になって、色々お出かけして、もっともっと好きになってしまいました!!」
――俺の勘違い……ではない。これは真実だ!
(――もうお前は大丈夫だ。心のままに生きろ!!)
「萌……俺と付き合ってくれ!!」
萌は恥ずかしそうに返事をした。
「……は、はい。ひっく……ハム子……嬉しいでしゅ……」
俺は萌の手を握りしめた。
「ハム子、ありがとう……俺は真実の愛を手に入れた」
「はい!! ハム子は先輩がだいしゅきです!!!」
カフェのテラスの草むらから幼馴染達が登場した!!!
幼馴染が叫ぶ!
「直樹!!! 私は愛人でもいいのよーー!!!」」
仙道さんも何故かいるし!?
「直樹様! 私を妾にしてください! きぃぃぃぃ悔しい!!」
名前がわからない隣のクラスのモブアイドルもなにか喚いている!
「わ、私の出番ないじゃん!! ねえ、名前ぐらい言っても……」
俺はその言葉を無視した!
妹も走って向かってきた!! その顔はハム子以外全員を見下している!!!
「おにいちゃーーん!! おめでとう!! ――けっ! 負け犬は早く帰ってください! 私はおにいちゃんと一生一緒だからね!!」
幼馴染達と妹のキャットファイトバトルロイヤルが開始される!!
ハム子はそんな様子を見ながら俺に寄り添って呟いた。
「へへ、幸せです……先輩……」
「ああ、これからもよろしくな!! ……ああ、やっぱりハム子の事を好きだったんだな……」
「ひゃい!?」
こうして俺の勘違いしない青春が終わった。
そして始まる俺の恋物語!!
みんな見守ってくれてありがとう!!!
読んでいただいてありがとうございます!
楽しく書けたので、楽しい気分のまま完結しました!
本当にありがとうございました!