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出会い!

 

「田中くん! 放課後カラオケ行こうね!!」


「花子マジで最高に可愛いね! あ、今日化粧変えた?」


「恋の歌……歌うんだ!」


「ぎゃははっ! あいつマジ童貞だったのよ! それで私は言ったのさ……」


「……ていうか森川ってさ」


「ばか! ちょっとヤバいって!? アイツの話ししたら女帝が……」



 今日もクラスのリア充どもが噛み合わない話しを喚いている。

 くそうるさいぞ。


 俺は一人ぼっちで休憩時間を過ごしていた。

 ――見られている視線をよく感じる。


 だけどそれは唯の自意識過剰だ!!





 俺は一人優雅にスマホゲームを興じるとしよう! 

 今週は往年の名作、ファイナルファナルⅥのプレイ週間だ。

 もうすぐ世界が破滅する……いい感じだ……


 幼馴染が俺の方に近づいてきた。

 腕を組んで大きな胸を強調するように近づいてくる。


 俺の周りに隠れていた女子が蜘蛛の子を散らすように逃げ惑った!


 恵理の軽快なステップに合わせてビートを刻む爆乳。


 リア充男子は釘付けだ!






 ――でもな、俺は世界を救うので忙しいんだよ!!



「直樹。今日はご飯一緒に食べるわよね?」


 巨大な胸を俺の机の上にドスンと乗せる。


 俺は努めて冷静に答えた。


「断る。なぜなら先約がある」


「え!? あんたいつも一人でご飯食べてたじゃないの!! 誰となのよ!!」


「あれだ、あの……」


 ――名前が出てこない……あ!?


「ハムスター娘だ!」


「ハム子……あの盗人猛々しいロリコン小娘ね!! ……そう、分かったわ……これは宣戦布告ね……」


 恵理はゆらゆらと闘気を上げながら自分の席に帰っていった。





 ――もしかして……言っちゃ駄目だったのか? まあいいだろう。友達とご飯食べるのは普通の事だろ?


 幼馴染とご飯を食べると、罰ゲーム的な面倒な事態にいつもなる。

 だから、一緒に食べたくない。

 一緒に行動したくない。

 胸も押し付けてほしくない。


 ――嫌いでは無いけど、ちょっと……くどいかな? しかもこれが子供の頃からずっとだ。


 アイツがモテるせいで俺は男友達が出来ない。

 いや……これは俺がリア充じゃないからか……くそっ!


 一時期は俺の事好きなんじゃないか? と思ったけど、そんなもの小学生時代でとっくに乗り越えている。


 アイツは俺をからかって遊んでいるだけだ!!


 俺は冷静に幼馴染の恵理を分析しながら、リア充どもを観察して休憩時間を過ごした。









 お昼のチャイムが鳴ると俺はダッシュをして教室を出る。


 後ろから恵理の声が聞こえた。


「な、直樹待ちなさい!! ほ、ほらあんたの好きなサバ缶あるわよ!!」


 くっ!? サバ缶……だけど俺には約束がある!


「あばよ!!」



 俺はハム子が待っている美術室まで急いだ。





「せ、先輩! 本当に来てくれたんですね! 萌嬉しいです!」


 いつも空いている美術室の椅子に、ハム子が腰をかけていた。


「ああ、約束は守らなければな! ……ところでハム子。その弁当は?」


 ハム子の机に上には弁当箱が二つあった。


「ハム子? え、わ、私の事ですか?」


「うん? 違うのか? 恵理がそう呼んでいたぞ? なんて呼べばいい?」


 ハム子は低く唸った。


「ぷすーー! ……あの女豹め。あっ、先輩、で、できれば萌って呼んでくれたら嬉しいです……」


「そうか……でも俺はハム子の方が気に入っているんだけどな……」


「ふぇ!? ま、まさかの……はい! ハム子でいいっしゅ!」



 とういうわけで俺はハム子の弁当を食べる事になった。








「ど、どうでした? し、正直に言ってください!」


 あらかた食べ終わってくつろいでいる俺たち。

 ハム子は弁当の寸評を聞いていた。


 俺は正直に答えた。


「――六十点。――塩加減がいまいち。見た目がいまいち。バランスが悪い」


「残念です……」


 ハム子はしょぼんとしてしまった。


「だがな、頑張って作った努力が伺える。これは全部手作りだろ? 冷凍食品を一個も使ってない。卵焼きに関しては光る物があった。このまま精進したら良きものになるだろう」


 しょぼんとしたハム子の顔がぱぁっと笑顔になった。


「わあっ!! やったです!! ハム子頑張ります!!」


 俺は思わず頭を撫でてしまった。

 妹にしている感覚に近い。


 ――うむ、中々、形の良い頭だ。


 ハム子の顔が茹で蛸になってしまった!


「お、おい、落ち着け! 深呼吸しろ!」


「ぷすー、ぷすーー、ぷす……はぁはぁ……だ、大丈夫です……ふぅ、びっくりした……もう、そんな事を軽々しく女子にしたら駄目ですよ!」


 ――え、そうなの!?







 落ち着いてきたハム子に俺は一点質問があった。


「おい、ハム子。俺とお前はどこで出会った? 全然覚えがないぞ?」


「結構ショックです……ハム子にとっては忘れられない日でした。――あれは私の愛犬のポメラニアン『サブ』と散歩している時でした……」







 **************






「わふん!!」

 ――今日も御主人は可愛いぜ! ヒューヒュー!


 俺はサブ。

 このハムスター顔の御主人様の大事なペットだ!   




 早速だけど俺たちは大ピンチだ!!


 俺の大好きな御主人様が、発情期のリア充に囲まれている!





「ねえねえ、君ってリア充学園の一年生だよね? 俺は三年の主席リア充だぜ!」

「俺たちと一緒に遊ぼうぜ! あそこにある白鳥のボートに乗っていい事しようぜ!」

「いやっほーー! 今日の獲物はハムスターっぽい美少女だぜ! チェケラ!」





 御主人が必死に抵抗している。


「や、止めてください! わ、私キモい人無理なんです!! 全員キモっ!」


「わふん、ぐるぅぅぅ!!」

 ――くそっ! 御主人に触るんな!!



 俺はリア充に立ち向かった!


「おお!? なんだこのブサイクな犬は!」

「いてて、足噛まれたぞ!」

「くそ、こんな奴!」



「わ、わふん!?」

 ――マジで!?


 俺は空を飛んだ。

 鳥ってこんな気持ちなんだな……


 俺はそのまま池に落ちてしまった!!


 大変! 俺泳げないよ!? 


「あっぶ、あっぶ!?」


「サブーー!!!」





 その時、リア充学園の制服を着ている一人の男とわんこが池に向かって走ってきた!


「――豆太!! みんなで水浴びだぞ!! ほら白鳥さんもいるし、友達わんこも泳いでるぞ!」


「――わん!!」


 その男はリア充共を巻き込んで(体当たり、肘打ち、浴びせ蹴り)池に飛び込んだ!!!



「ぐふっ!? 超いてえ……ごぼぼ……」


「た、助け……痛くて泳げ……」


「メガネ……メガネ……」







「わ、わふん……」

 ――早く助けて!! 俺泳げないの!?


 男のペットの柴犬が犬かきをしながら近づいてきた。





「――わん、わん……わん」

 ――てめえ男なら……自分で立て。


「わ、わふぅ?」

 ――はっ!? ちょっと何言ってんの? 俺溺れてるでしょ!


「――わん……わん!! ――わんわんわんわん!!!」

 ――てめえには立派な四本足があるだろうが!! ――前に進め! 進まなきゃ男じゃねえぞ!!!



 俺の背筋に衝撃が走った!



「わふん……わふんわふん!!」

 ――そうだよな……御主人様に迷惑ばっかかけてられっか!!


 俺は顔を上げて水中で足をかく。


「――わん」

 ――ふん、いい顔付きになったじゃねえかよ。あばよ。


 俺は少しずつ進みながら柴犬の兄貴に聞いてみた。


「わふんわふん!」

 ――あ、兄貴! お、お名前だけでも!! 


「わん!」

 ――俺は豆太だ!




 **************





 ハム子が無い胸を張って俺に言った。


「と言うわけなのです!!」


「わけわかんねーよ!?」


「とにかくありがとうです!!」


 ――わんこをいじめている奴らを懲らしめた……ような気もしないでもない……うん、忘れよう!!


「じゃあ、今度わんこと一緒にお散歩しようぜ!」


「はいです!!」




 俺は初めて、友達と出かける約束をした!!






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