30話6Part 宣戦布告⑥
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「はいっ、着いたっ!!」
「っと、」
「あ、隠れましょ!」
......ウィズオート皇国南方北部に位置する、領主·ジシュの館。
そこの表庭にすたっ、と華麗に降り立った2人は、直ぐに付近にあった大きな噴水の影に身を潜めた。
大量の地方騎士団の騎士達が守りを固めており、屋敷の門と扉の前には一際体格のいい騎士が爛々と目を光らせて防衛に徹している。
「全く、南方領主が金を博打やら遊郭やら自分のことばっかりに使うから、永遠にスラムがなくならないじゃない」
「ごみ溜めで金属片を集めて、南の端からここまで大量の馬を連れて何日もかけて水を取りに来る者もいるというのに......酷い話だ」
小声で話しながら改めて兵士達以外に着目してみると、南方原産の宝石を大量に使った豪奢な館......恐らく自分の部下達に命じて掘り出させその1部を売り、残りを自分の館の装飾に使ったのだろう。
聖火崎はその宝石が、皇都や西方に行けば1cm程の欠片で日本円で何百万に化けるかなり高価なものだったと思い出し、自分だけ潤おうとする領主に対して胸の内で殺害予告をした。
そんな聖火崎の横で、或斗はどことなく楽しそうに辺りをきょろきょろと見回してそわそわとしている。
「......あんた、こんな風に宝石とか使ってる館見るの、初めて?」
「魔界では宝石等で装飾はしないし、巡回はこんなに何百人も配置はしないから......初めてだ」
「そう......こういう館は、ウィズオートの中にはかなりあるわ。貴族は全てこんな風だと思ってちょうだい。国に従順じゃない貴族や役人は早々に捕まるから、こういう館に住んでる奴らは容赦なく葬っていいわ」
「分かった」
聖火崎からの密かな手解きに首を縦に振る或斗は、やはりそわそわしたままである。
このまま歌でも歌い始めそうなその雰囲気に、聖火崎は漸く或斗がわくわくの方で落ち着かない理由を察した。
「そうよね、あんた仮にも魔王軍の戦い好きなドS拷問官だもの。わくわくしないわけがないわ」
聖火崎のその一言から間を置かずに、
「っはぁ......♪」
或斗の恍惚としたような、興奮から出されるしっ......っとりとした溜息の音が聖火崎の耳に否応なく飛び込んできた。
「......日本に行ってからは割と押えていたが、ここまで大勢となると10人くらい攫って遊んでもバレないかなーと......♪」
「ちょっと、想像して興奮しだすとかやめて」
「股を開いて誘惑してくる色仕掛けよりも、血だらけで傷口を押さえて震えている方がよほど唆られる......ふふ♪」
「生で見たことなかったけど相当みたいね......」
よく今まで抑えてこられたわね......2ヶ月くらいかしら?と聖火崎は不思議そうにしつつしらーっとした視線を或斗に向けた。
すると、或斗は聖火崎の方を見遣ってから、悪戯っぽい乾いた笑みを浮かべる。
そして、
「これでも、生粋の天界人が板についているからな」
「天使が聞いて呆れるわ......」
改めて、ウィズオートの今を作り出した(らしい)天界を勝手なイメージで想像して、聖火崎はぞっと身震いした。
「......とりあえず、2手に別れてから、ここから1kmぐらい北にある離屋敷まで行くわよ。道中で出会う警備兵は全員倒していいわ。私は外、あんたは中を殲滅しましょ」
「分かった」
それから、聖火崎は小さく咳払いをした後に、改めて或斗に軽く指示を出し、
「それじゃー、解散っ!!」
自分達に気付きそうもない騎士達に「ここにいるぞ」と知らしめるように大声で牽制して、2人は別れたのだった。
──────────────To Be Continued─────────────
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