30話2Part 宣戦布告②
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まだまだ付き合うよっ!って方は下へ⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!
口で話すのもなんだし、お前は飽き性だから、記憶思念共感魔法......だったか、あれを使って口での説明と並行して、俺が覚えているあの時の記憶でも見せてやろう。
......あれは1万年以上前......下界がまだ、火の海だったらしい頃の話だ。
あの当時、下界では何かしらの派閥やら思考やら、はたまた本能的に自分達が生き残る術をかけて、人類同士の対戦が起き、その戦争のせいで大勢が死んで、生き残ったのは全世界の人口の中でも300人程度という悲惨な出来事があった。
......その頃に、俺とアズライール、他500名程の天使が神の手によって生成されたらしい。
天使というのは、生まれた時点で5、6歳程の見た目で、白色の目を持った、ある程度知能を持った状態の生き物として生成される、人造人間だ。
そんな"人間"もどきが天使になるためには、天界にある宇宙樹·ユグドラシルの果実を食べる必要があった。
生まれたての天使にはまだ、天使として神気を溜め込むための器がないため、"食事"という形を取って、果実を食すことで神気を取り込んで神気の器を体内に生成する。ちなみに、普通に神気や魔力を取り込む事で、器が新たに生成されることはない。果実が特殊なんだ。
それで......あの時、俺も他の大勢の天使達と同じように、果実を食べて神気生成をしようとしていたんだ。
木になっている果実は高くて取れないから、熟れて地面に落ちた物の中で状態の良い物を選りすぐって拾って食べるのが暗黙の了解として、密かに語られていると思い込んでいた中で、
「......あれ、あのこ......たべないのかな?」
1人だけ、端に座ってぼーっとこちらを見つめている天使がいてな。
同期は見て分かるから、何で食べないのかと不思議になって、声をかけてみたんだ。
「......ん、あのー......」
取って食われはせんだろうが、一応恐る恐る話しかけてみれば、
「うわ白っ、きもっ......」
「え......」
おどおどしつつも勇気をだして話しかけた俺を引くような目で見て、どストレートにさらっと悪口を言った、端で座っていた金髪の天使......こいつが、アズライールだ。
当時の俺は、白い髪に白い肌と、まあ......傍目で見れば確かに、あいつの言ったように"きもい"に該当する見た目だったのかもしれない。
だが、そこまでまだ考えの巡らない幼心にアズライールの素直な悪口は結構刺さって、
「なんで、しんぱいしてこえかけてあげたのに、きもいって......」
「いや、だって明らかにほかの奴よりも白いし、怖いじゃん......」
......気づいたか?俺や他の天使達はみな、舌足らずでまだ言葉を流暢に話せていない。
それなのに、アズライールはかなり話すのが上手かった......恐らく、生まれた時から頭1つ抜けて賢かったんだろう。
まあ、こんな風に出会い方は割と良くはなかったが、俺達はこの時から暇ならば話す程度の友達になった。
......そして、生まれてから7年が経って、天界の天兵養成施設......日本で言う所の中等教育機関だな。そこに入る際の入所試験の時だった。
「ねえ、あれ......」
「ああ......」
俺達は揃って最下位付近で、それも法術基礎、神気受容能力、基礎知識、戦闘基礎、全ての教科において落第点を取ったんだ。俺はともかく、アズライールは頭が良かったはずなのに。
結局俺達は天兵養成施設には入れず、毎日を天界の神殿付属の庭や図書室、ユグドラシルの近くの原っぱ等で過ごす事にした。毎日やることがないから、2人で適当にぶらぶらしたりごろごろしたりする日々を送る事にしたんだ。
......そこからの扱いは、まあ酷かった。
ん?いや、暴力を振るわれるだとか悪口を言われるだとか、そういうことはなかった。
ただ、
「次の法術基礎の訓練何するんだろうな〜」
「ね〜」
「あの、ちょっといいか?」
「…あー、また樹のとこ行かねぇと」
「本当だ!!神気補給しよ〜」
「......はぁ......」
こんなふうに、皆に話しかけても無視されるようになった。
......お前、知ってるか?人間って、暴力を振るわれたり悪口を言われたりするよりも、無視が一番堪えるんだ。......まあ、この話は今はいいか。
自分達だけが無視されているのに、俺とアズライールはかなり違和感を感じていたんだ。
何故なら、入所試験の際に、俺達以外にも落第点を取った奴らが何人かいたからだ。点数も俺達より下で、決して良いとは言えない成績の奴らが、何人か。
それなのに、そいつらは普通に天兵養成施設に普通に通っていて、訓練も受け、勉強もして、着実に1人前の天兵への階段を上がっていた。
日々を過ごすうちに自分達だけが酷い扱いをされていると気づいた俺達は、腹を括って、天兵養成施設の資料室にこっそり忍び込む事にしたんだ。
そこで、諸々の記録用紙を確認してみて、唖然としてしまった。
『この天兵養成施設は、天界での責務を全うできる天使を育成するための施設です。
この施設への通学は全天使の責務であり、義務です。』
こんな文章が、ページを開いた俺達の目に真っ先に飛び込んできた。
天兵養成施設は、全ての天使が通わなければならない施設......入所試験の点数が悪かろうとも、通えない、なんて事は本来起きない施設だったんだ。
それを見てからも、俺達は他の資料や書物を片っ端から漁ってみた。
すると、試験前の簡易訓練を俺達2人だけ他の奴らの4分の1程度しか受けられていなかった事や、ユグドラシルの樹に連れていってもらった回数も少なく、全ての天使達に配られている武器の配給や、装具、神具の配布も受けていなかった事が分かった。
......俺達が自覚していなかっただけで、昔から俺達2人に対する扱いは酷かったわけだ。
「......ちょっと僕、他の所見てくる」
「分かった」
資料を見ていた所にアズライールがそう声をかけてきたから、俺は二つ返事でアズライールが外に行くのを是認した。
そのすぐ後に、
「××××!!」
「ん、××××××、どうした?あまり大きな声は出さないで欲しいんだが......」
「これ......」
アズライールが慌ててすぐ戻ってきて、俺の方にある1冊の本を突き出してきたんだ。......見て分かる通り、7年前......俺達が生まれた際の、その時に生まれた天使の名前が載っている名簿だ。
その名簿には、
「......は、何で......」
「僕にもよく分からないけど、何でかね......」
その名簿には、俺達2人の名前が載っているはずなのに、載っていなかった。
......俺達2人は、天界にそもそもいなかった、生まれなかった事にされていたんだ。
─────────────To Be Continued─────────────
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