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なにまお!(リメイク前旧作Rotstufen!!)  作者: 水都まる
第4章 (元)魔王と勇者の憩場に
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22話5Part 異世界生物達の日常⑤

ここまで読んでくれてる方ありがとうございます!!

まだまだ付き合うよっ!って方は下へ⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!

「......、......?」



 扉を開け、部屋の中を見るなり固まってしまった晴瑠陽に、



「おー、珍しい。分かりやすく動揺してんなあ。そんなに衝撃的だったか?これ」



 と、同じように部屋の中を覗き込んで指さした後、望桜はそう言った。


 ......ヨシダパークハイム332号室、望桜達が住む部屋の隣の部屋だ。まあ、当たり前だが331号室と同じような造りになっており、部屋の間取りも風呂の広さも窓の位置も何もかも同じ。ただ......



「な、なんで......こんなに床と壁、綺麗なの......?」



 ぼそり、と思った事を晴瑠陽は素直に口にした。


 ......331とは雲泥の差があるほど綺麗な床と壁。331号室の、なにがあった?と心配になるくらいにはヒビが入っており、どこか古く、頼りないほどに軋む床に、もはや事故現場並に傷だらけで、時折......というか頻繁にささくれが手に刺さる壁とは大違いだ。


 331号室と332号室を見比べて、よく今まで生活できてたな......と心配を通り越して感心してしまう晴瑠陽に、



「あー、331だけ特別な理由があってですね〜」



 と、ヨシダパークハイムの大家である由多(よしだ)が、1枚の書類をカバンから取り出しつつ説明を開始した。



「特別な理由って、こっちの部屋の部屋中についてる落書きとか傷跡とかと関係ある?」


「あるある、大ありっすよ!!」



 それを割り込むように首を突っ込んできた葵雲に、由多はそうそれ!とジェスチャーを返す。



「実はっすね、あ、緑丘さん達には言ってたんすけど、前の前に入居してた方がこっっっそり猫を飼ってたんす。その猫が大暴れしちゃってたらしくて、そのせいで傷が大量についてるんす」


「あれだけの数があるってことは相当猫が暴れたってことだよな。それにしては、周りの住民達も、大家さんも気づいてなかったんだってよ」


「どう考えてもおかしいのだよ。あの傷、本当に猫が暴れたからついたのかい?」


「詳しく調べた訳じゃないっすから絶対じゃないけど、猫だと思うっす」


「そうかい」



 由多の返答に割と興味なさげに返事した的李は、「それじゃあ、バイトに行ってくるのだよ」と一言残して出かけていった。



「それで、その猫を飼ってた方の次に入居した方......たしか、小さな女の子を連れた夫婦だったと思うんすけど、その方に、家賃は少し高くなるけどよろしければ床と壁を綺麗にしましょうかって言ったら、」



 ──『心遣いはありがたいけど、御遠慮させてもらうわね』



「って、断られたんすよ。そこから退居されるまでそのままで、家賃が割安なまま緑丘さん達が入居を希望されて、同じことをお聞きしたんすけど、」


「家賃が高くなるやつだからいいって、的李がすぐ断ったんだよ」


「......納得した」



 望桜と由多2人がかりの説明に、晴瑠陽は小さく頷いて納得の意を示した。



「それじゃー荷物運ぶぞ!って、おい葵雲!!パソコンだけ運んでYouTube見てんじゃねえ!!WiFi切るぞ!!」


「......あ、御厨(みくりや)晴瑠陽さんで間違いないっすよね?」


「......うん......」


「この書類にサインをお願いしてもいいっすか?」


「......わかった」


「......ありがとうございます。家賃は月5万5000円になります。晴瑠陽さんは未成年なので、保護責任者は緑丘さんってことになるっすけど、大丈夫っすよね?」


「......うん、大丈夫......」



 財布の中身を確認した後、さらりと契約書にサインをした晴瑠陽。爽やかな冬の午前の陽気が



「じゃあ改めて、これからよろしくお願いしまっす」


「......よろしく」



 妙に馴れ馴れしく挨拶してくる由多に若干戸惑いつつ、晴瑠陽は小さく会釈を返したのだった。




  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ......唐突だが、誰にでも生理的に無理な物はある。


 例えば血がダメだったり、犬にどうしても近付けなかったり、グリーンピースを口に入れただけで胃酸がこみ上げてきたり。



「ははっ、はははwww」



 パソコンとにらめっこしつつ、時折笑い声をあげるこの少年にもまた、"生理的に無理なもの"が存在する。それは......



 カサ、カサカサカサ......



「......ん?」



 ......



「......ヘッドホンの接続不良かな」



 ......カサ、カサカサ



「違う、やっぱり何かいる!!」



 ......カサ、カサカサカサ



「っ!!」



 後方から聞こえてくる妙な音に、少年......こと、不良債権でありどこに行っても走るかYouTubeか食べるか寝るかしかやることのない、御厨 葵雲(みくりや あうん)は後ろを振り返り、パソコンとヘッドホンを抱えて警戒態勢に入った。



 ......カサカサカサ



「で、でた!!」



 その視線の先、山積みのダンボールの隙間から顔を出した小さな小さな"ヤツ"を、葵雲は忌々しげに睨みつける。



「......なんで、ここに......」



 そして、その小さな小さなヤツの、おぞましい名を口にした。



「......ゴキブリ......!」



 小さく黒光りするボディーに、毛の生えた細い足。若干の硬さを感じさせる羽は、蛍光灯に照らされてテカテカしている。ゴキブリ、種類でいえば日本ではごく一般的な家ゴキブリの1種、日本全国に生息しているクロゴキブリ。


 ちなみに、和名の由来は御器(食器)を齧るから"御器噛り(ごきかぶり)"、または御器の下に隠れる(被る)から"御器被り(ごきかぶり)"など諸説あるが、"御器"関連という点では共通していると言えるだろう。


 ......まあその他色々な情報は置いといて......こいつが葵雲の"生理的に無理なもの"なのの、正体なのである。




 ───────────────To Be Continued──────────────




ご精読ありがとうございました!!

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