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大坂冬の陣と真田丸 その3

俺は勝手に真田丸に攻め込んだ連中を叱りつけてから、全軍に撤退を命じた。でも、それは遅かった。

うちの軍勢が攻め込んだせいで、隣にいた井伊直孝や松平忠直といった徳川家の軍勢も真田丸に突撃をかけてしまったのだ。

しかも間の悪いことに、大坂城内の火薬が爆発する事件が起きてしまった。

大坂城の連中が裏切ったと勘違いした井伊直孝と松平忠直は、全軍総攻撃を命じる。

そこを狙われてしまい、我が徳川軍は大損害を受けてしまったのだった。


「全軍退却じゃ!退却じゃ!」


徳川家康の大声が轟く。

しかし、真田信繁をはじめとする大坂城からの攻撃は激しく、撤退も難しい。

ようやく撤退が終了したのは昼の3時ごろだった。


「何をやっとるんじゃ!お前らは!」


俺と井伊直孝、松平忠直の3人は家康に呼び出され、お説教を受けている。


「部下が勝手に攻め込んでしまっただと!それを抑えるのが大名の仕事じゃろうが。自分の部下すら思い通りに動かせないとか、本当に情けない!加賀百万石の主が聞いて呆れるわ。そもそも・・・」


あー長い。そんなことわかってるよ。

そもそも、俺は前田利家の子とはいえ4男だし、兄であり父親代りをしてくれた長男の利長と違って正室の芳春院《お松さん》の子じゃない。

芳春院の侍女をしていた寿福院《千代保さん》の子だ。

秀吉が朝鮮に出兵をした時、父さんの前田利家も肥前名護屋まで行ったんだけど、その時に肥前名護屋までついていったのが俺の母親。当然、お手つきとなって生まれたのがこの俺なのだ。だから側室の子と陰で馬鹿にしている家臣も多い。実際、利長に子供が生まれていたら、俺が藩主になることもなかったしね。

それが今回の家臣たちの暴走の原因なのだ。

俺だって何とかしなきゃいけないってのは、わかってるんだよ。


「そもそも竹束や鉄の盾も持っていってないなんて、戦国の合戦を知らなすぎる。最近の若い奴は・・・」


ひとしきりお説教を食らった後、俺たち3人は目を合わせてため息をついたのだった。


陣に戻った俺は一人考え込んでいた。

なんとかこの失敗を取り戻す起死回生のアイデアはないか?


「あー!わからん。左門、なんか名誉挽回の良いアイデアはないか。頭はいいんだからお前も考えろ」


「そうですねぇ。いっそ真田信繁を寝返らせてみてはいかがですか?」


いや、無理でしょ。

俺たちを散々打ち破って大勝利したばっかりだよ。

寝返るわけなんかないでしょ。


「そうとも限りませんよ。真田信繁の叔父を使うんです。叔父の真田信尹(さなだのぶただ)は徳川についていますからね。年寄の本多政重なら徳川家とのパイプもありますし、話を通すこともできるんじゃないですか」


そうか、確かにできるかもしれないな。

散々俺たちを馬鹿にしてくれた真田信繁を寝返らせる。

それって、1番の手柄じゃない?やってみよう。


結論から言うと、寝返り大作戦は失敗に終わった。

家康のことは信用できないってさ。まぁしょうがないよね。


その後、徳川家康のもとに巨大な大砲が届けられた。

イギリスから購入したカルバリン砲だ。

大坂城内では、淀殿自身も鎧を身につけて城内の武士を激励していたこともあって、士気は高かった。

でも、このカルバリン砲の砲弾が大坂城の本丸に撃ち込まれ、侍女に命中したのをみて、淀殿は和睦を申し出ることになる。


和睦の条件として、本丸を残して二の丸、三の丸を破壊すること、惣構(そうがまえ)の南堀、西堀、東堀を埋めることが決められた。

普通、この条件の場合のほとんどが堀の一部を埋めるだけの儀礼的なもののはずなんだけど、徳川家康は本気で全ての堀を埋め立てたというのは有名な話だ。


和睦が成立したおかげで、俺たちも加賀に一旦戻ることになった。

みてろよ。今度こそ手柄を立ててやるからな。


次は大坂夏の陣です。

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