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プロローグ

 そこはどこまでも無限に続く白い世界だった。

ついさっき、トラックに轢かれて死に、半透明の幽霊のようになった俺は目の前の神々しい存在に半笑いで宣告された。


「お前には外れスキルSSSSSランク悪役令嬢を持つ料理人が勇者パーティから平穏に追放され魔王を暗殺した罪で世界最高の領地開拓をしていたら賢者の奴隷になり宿屋をはじめた転生者になってもらう」


 は? と言いたかったが、幽霊は喋れないらしい。言葉が出ない。は? の顔をするだけで精一杯だった。頭がついてこない。

 俺は何か不思議な力に操られるように道路のど真ん中にいた猫を助け、トラックに轢かれて、死んだ。それだけだ。それだけというにはおかしいが、まあ、それだけだったはずだ。今何が起きているのかさっぱり分からない。

 目の前の存在は半笑いのまま言葉を繰り返した。


「お前には外れスキルSSSSSランク悪役令嬢を持つ料理人が勇者パーティから平穏に追放され魔王を暗殺した罪で世界最高の領地開拓をしていたら賢者の奴隷になり宿屋をはじめた転生者になってもらう。トラックに轢かれて転生するのは今やってるからもうやらなくていい」


 それはどういう――――


「おっと質問の必要はないぞ。俺は神だからな。そうだな、質問しなくて(・・・・・・)いいように(・・・・・)してやろう(・・・・・)


 目の前の存在がほんの少し目を細めただけで、俺は突然全てを理解した。

 頭の中に無理やり知識をねじ込まれたというのに、不気味なほどに違和感がなく、あっさりと分かった。


 目の前の存在は、元々日本人だった。

 神に創造能力を与えられ、魔王を倒すために異世界に転生した。

 コイツは魔王を倒し、それだけでは足りず、創造能力を悪用して神を吸収した。

 神に成り代わったコイツは、暇つぶしの娯楽のために俺を殺した。


 そして、

 何よりも、

 致命的なほど、

 バカバカしい事だが。


 俺はこれから異世界に転生し。


 外れスキルSSSSSランク悪役令嬢を持つ料理人が勇者パーティから平穏に追放され魔王を暗殺した罪で世界最高の領地開拓をしていたら賢者の奴隷になり宿屋をはじめなければならないらしい。


 そうしなければならない理由は簡単だ。

 このクソ邪神がそう決めたからだ。

 逆らえばもう一度死ぬし、逆らい続ければ何百回、何万回、何億回でも死に続ける。

 絶対にそうなる。

 なぜならこいつは神で、神がそう決めたからだ。遊び半分で。

 いや半分どころか100%遊びだ。

 最悪だ。


 邪神は子供が妄想したようなアゴの尖ったイケメン顔に爽やかな笑みを浮かべ、言った。


「先の展開が分かるとつまらんからな。心と運命は読まないでおいてやる。さあ、楽しませろ」


 邪神が見せつけるようにもったいぶって指を鳴らすと、視界が暗転した。

暇つぶしでやってるクセに暇を潰す気の無いスピード展開なのはどういう事だ、とツッこむ時間はなかった。

 その瞬間から、俺の、神楽坂(かぐらざか)(すすむ)の長い長い邪神殺しの激闘は始まったのだ――――

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