不可解な生き物
翌日、俺は国道沿いに構えるホームセンターを訪れた。猫を飼うにあたり、一通り揃えなければならないものを購入する為だ。
選ぶのに時間は掛からない。トイレ、トイレ用の砂、ドライフードなど、目についたものから大型カートに乗せていく。
店内にいた時間は十分程度。購入したものを車に詰め込み、自宅マンションへ向かう。
「マンションに置かれたらこのまま学校へ?」
「いや、学校へは歩いて向かう。荷物を下ろしたら戻っていい」
「かしこまりました」
自宅マンションに帰った俺は、早速トイレを設置し、ドライフードを用意して猫の前に差し出す。だが、臭いを嗅ぐだけで食べようとはしない。
いくら目の前に置いても結果は同じ。食べなければ死ぬというのに不可解な行動をとる猫。
どうしようかと思案し、俺は行動することにした。
◇◆◇
午後から登校し学校に着くや否や図書室へ向かう。南校舎の四階にある二年二組の教室から図書室のある北校舎の四階へは、渡り廊下を渡ればすぐに行ける。
理科室や音楽室など特定の授業がないと足を運ばない教室が多い北校舎は、それら授業の時間を除けば生徒の姿はほとんどない。
図書室の日に当てられ黄ばんだ引き扉を開けると、やはり生徒も教師の姿もなく、俺はここに来た目的の本を探す。関連しそうな本の並びを見つけると、目当ての本も苦労なく見つけた。
二、三冊を手に取り、俺は図書室から校庭を一望できる窓際の席に座った。何年生かもわからないが、校庭では生徒たちがマラソンをしている。体育の授業だろう。
興味のない俺はすぐ本に目を落とし、静かに開いた。