『ヒーローよ永遠なり』
『ヒーローよ永遠なり』は今夏3回目の映画化が決まった大人気アニメで、少年誌で掲載されている原作は今年5年目を迎え一向に人気は衰える事無くテレビ放送3年目になる今も週末ゴールデンの時間帯を飾っている。
生まれながらヒーローの素質を持ちながらも胸に潜む悪の心と常に葛藤しながら生きる主人公がヒーローへの憧れを持ち続けるものの何の取り柄も無く生きていた少年と出会う事によって進んでゆく物語。ありきたりと言えばありきたりだがやはりどの時代も王道の少年マンガは揺るぎない人気がある。
また物語に登場するヴィランがアメコミに出てくるような破天荒なキャラでそれが魅力的でヒーローの話なのにヴィラン人気もすごかった。
先程女子高生が言っていた、リリアと言うキャラクターは、天真爛漫な性格と邪悪な二面性を持つ女のコだった。
ただ自分の好きなように生きていたい、自分の心に正直に生きていたい彼女は普通の女のコのようにお洒落したりカラオケしたり恋バナに花を咲かせたりと至って当たり前の生活をする一方、無表情で人をなぶり殺す場面もあったり、戦闘着として学生服を纏いスカートを翻して闘う格闘シーンなど、ファンの間で高く評価されているシチュエーションが多い。
ちなみに僕もリリアちゃん推しである。
それよりも…。
何故あの裏道から女子高生がリリアちゃんの話をして出てきたのか?そもそも、くるみちんとは一体誰なのだろうか?
ぐつぐつと沸き立つ好奇心が抑えきれ無かった。
ラジオ収録終わるのにはまだ時間ある事を確認した僕は先程女子高生が出てきた路地へと体を向けた。
路地裏なのに、人の流れが多い事に驚いた。
一際目立つ人の群れを発見し歩の速度を早めた。
そこには、小さなステージがあり特大サイズの『ヒーローよ永遠なり』の映画の等身大パネルが飾られているものの映画のイベントにしては盛り上がりに欠けていた。
パーソナリティも見た事の無い人間だし、テレビカメラも見当たらない。
ステージが見えるところまで行くと、ステージ中央には、リリアちゃんのコスプレをした女のコがいた。
衣装もメイクも完璧なそのレイヤーはくるりと一回転したり様々なポーズを取っている。
コスプレのイベントだろうか?
辺りを見渡したところ、彼女以外にレイヤーはいなかった。
「くるみちゃーん、こっち向いてー」
ギャラリーの一人がステージへ声を上げると、リリアちゃんのコスをした女のコが目を見遣り手を振った。




