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まさか!

心音ちゃんがセーラーピンクのコスを続けている理由は二つある。

幼い頃自分に自信をつけてくれたセーラーピンクに少しでも近付きたいから。

そして、もう1つの理由は…。

コスプレ会場で出会ったナイトさまにもう一度会いたいから。

今僕の目の前に立っている風貌鮮やかなナイトさまはきっとセーラーピンクが憧れているナイトさまその人だと。

隣に立つセーラーブルーのテンションの高さを見ていれば分かる。

以前のイベントで会ったナイトさまもそれはそれはイケメンで尊かったけど、今僕が見ているナイトさまは他の誰とも比べられなかった。

イケメンレイヤーはそれこそたくさんいて、彼がイケメンなだけならそこらのレイヤー達とそんな大きく変わるとこはないけど、二次元と言う世界が普通にこの三次元に並立していたとしてキャラ達が普通にこの場所を行来ししたとしたら、きっと彼こそが正真正銘本物のナイトさまだろうと錯覚してしまうぐらい美しいナイトさまだった。


「ど、どうしよ…え?…はや、早くしないと行っちゃうよね?」


声を掛けたくてうずうずしているものの、言葉とは裏腹に体がロボットのようにぎこちなく動いているのを見ていると、まるでセーラーピンクに初めて声を掛けた時の僕の姿と重なった。

僕の方も初のナイトさまとの対面と言うことで全身強張ってしまい、口ごもっていると。


「嶺二さん?…、あれ?ミューちゃんも一緒…」


撮影から戻ってきた心音ちゃんが僕達の前に立って小首を傾げていた。


「二人ともどうしたんですかー?」


「あ、心音ちゃん」

「セーラーピンク!」


僕とセーラーブルーの声に重ねて言葉を発し、あ!と口をつぐんだ。


「二人とも何見てたんですか?…あ!」


じっと見つめるピンク色の瞳が水面に沈んでいくようにユラユラと動いているのが見てとれた。


「あれは…ナイトさま…」


僕が驚いたのは彼女の次の行動だった。

てっきり彼女もセーラーブルーと同じようにロボットのようにぎこちない動きで身動きしなくなるのかと思ったら彼女は足早に彼のいる方に向かって行ったのだ。

走る訳では無く一歩一歩短い歩幅でナイトさまに近付くセーラーピンクに触発され僕とセーラーブルーも続いた。

セーラー戦士とナイトさまが一緒にいるとかなり目立つようでちらちらと視線を集め遂には柱に寄りかかって写真を撮られていたナイトさまの視線を捉えた。


「ナイトさま!」


セーラーピンクのハッキリとした声にナイトさまは優雅に微笑んだ。


「お久しぶりですね、セーラーピンク」


思ったより高い声で驚いた。

写真撮影を並んでいる人達に少し待っててと小声で言うと、僕たちに近付いてきた。

気のせいだろうがバラの香りがした気がした。

マントを華麗に揺らし、セーラーピンクの前に膝をつき彼女の小さな右手に口付けをした。


え?え?えーーーーー?


突然の事で頭が真白になる。

こんな西洋系の挨拶を何の躊躇も無しにしてくるナイトさま、何て恐るべし!


しかし、それ以上に驚かされる事がこの後起こった。


「久しぶりだね、ミユキちゃん!」


セーラーピンクがナイトさまに向かってそんな事を言ったのだ!


え?え?今何て?


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