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告白?

「うん、やっぱりポテチはコンソメ味に限るなぁーでも、サワークリームオニオンも好きなんだよなぁ。付き合うなら食の趣味が同じ人がいいよねぇ。まぁ、ボクゥは現実の女の子に興味無いけどぉ」


こいつには心音ちゃんの苦い思い出が聞こえなかったのだろうか?

部屋にいた三人が心音ちゃんに何て声を掛けていいのか分からない状況の中で、開封したばかりのコンソメポテチを愛しそうに眺めて、さりげに自分に彼女がいない事自分の性癖を告白してからパリパリと食べ始めた。

先入観で人を判断してはいけないが、和喰には彼女などいる訳ないと思っていたからそんなどうでもいい告白なんて誰も聞きたくないのに、静まり返った部屋の中で和喰の声だけが耳に届いた。


「みんなぁ食べないのぉ?食べないなら全部食べちゃうよぉ」


「…勝手に食えよ!」


全くのKYの和喰の発言についつい声を荒らげてしまったものの自分の発言にすぐに後悔してしまう。

ただでさえ重い空気の中こんな事を言ってしまったらより一層雰囲気を悪化させてしまうのでは無いか?

しかし、そんな気遣い無用だったようだ。


「みんなが食べないならどんどん食べるべきです!さぁさ、私が持ってきたピーナッツブロックチョコとイチゴ味のポッキーも開けちゃってください!」


当の心音ちゃんはガサガサとコンビニ袋からお菓子を取り出し広げ始めた。


「みんなもどんどん食べちゃってくださいね」


「心音ちゃん?」


まだ落ち込んでいると思っていた心音ちゃんが僕たちの心配をよそにいつもの笑顔で言った。


「悩みの無い人なんてこの世に一人もいる訳無いんです。確かに今でも私は自分の声が好きでは無いけど、今こうして私の(かこ)を聞いてくれる人が少なくとも4人いてくれるそれだけでも私は幸福だと思いました」


過去を話し終えての『すっきりした』と言う彼女の言葉は心底素直に思った言葉だったんだな。


「ほらぁ、そんなにみんな暗くなる事ないよぉ、んー、ボクゥチョコも大好きぃ」


相変わらずマイペースに食べ続けている和喰の言葉にも先程までの鬱屈した気持ちは無かった。

高志もセーラーブルーも安堵の表情に戻り和喰とお菓子を取り合いを始めていた。


「メロディちゃんの声本当にすごくいいと思うしぃ、友達が声優だなんて最高じゃないぃ?」


「そう言う有名人が友達とか言うの有名人である本人はイヤなんじゃないのかな?」


「キミは有名人じゃないのに何でそんな事分かるのぉ?」


そりゃそうだ。

僕は有名人では無いから有名人の気持ちなんて分かる訳無い。


「それにキミだってメロディちゃんがコスしてるセーラーピンクもメロディちゃんが担当しているアニメキャラの声も好きなんでしょぉ?」


「な」


和喰の言葉でまた部屋が静まり返り全員の視線が僕に集中する。

え?え?え?


「ぼ、ぼ、僕は…」


「あれ、嫌いなのぉ?ボクゥはてっきりぃ好きなのかと…へぇ、好きじゃないんだぁ、何だぁ、好きじゃないんだぁ」


煽動するような和喰の言葉に僕の心が激しく狼狽えてしまう。


好きじゃなくない!

僕は、僕は!


「僕は。心音ちゃんが好きだ!」


心が弾けてしまい、口からとんでもない言葉が飛び出てしまった。



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