表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/80

キャラ愛

「私、ミューまだまだ新人レイヤーですが以後お見知り置きを!」


完璧とまではいかないが自分なりに試行錯誤したであろうセーラーブルーのコスをした彼女が目の前でペコリと頭を下げると、歓喜の声を上げた。


「うわぁー。コス誉められるってこんなにも嬉しいんだね!自信出てきた、よし、この調子で外に出てみよう!…と、あなたも一緒に来ない?あなたも今日のコス撮影のために来たんでしょう?外にもレイヤーさんたくさんいるよ」


コスについて全然勉強不足のボクなんかの感想を心底喜んでくれた、セーラーブルーがボクの腕を引っ張り、外へ行こうと促した。


「ボクゥも一緒に行くよぉ」


「和喰はキモいから来ないで!ほらほら行こうよ?」


太っちょレイヤーは問答無しのつれない表情でバッサリと斬り捨てて、外へ外へと引っ張る。


そうだな、せっかく来たんだし、こんな風に成り行きに任せて一緒に行くのもこう言うイベントの醍醐味かもしれない。

なんて、勝手な事を思って外に繰り出した。


過ごしやすい快晴の中、たくさんのレイヤー達があちらこちらで撮影やレイヤーさん達同士で談話などしている。

驚いたのは近くにあるスタ○コーヒーに長く伸びている行列がレイヤーだらけで、まるで違う世界に迷いこんだ感覚に陥る。

そんな景色を見ていると、気持ちは不思議な高揚感に高まっていくのが分かる。

あー、あそこに並んでるレイヤーさんと写真撮りたいな、とか。

うわー、あのレイヤーさんのしているキャラって片手にコーヒーとかめちゃ似合う。とか。

非日常的なこの状況にテンションが上がるのを止める事ができない。


「みなさん素敵な方ばかりですよね、私も早くあんな風なレイヤーさんになりたいなー」


「うん。みんなクオリティ高いね。ボクもレイヤーになれるかな?」


「え?貴方もレイヤーになりたいのですか?」


「あ?うん。やってみたいと思う」


「そぉなのですね。やっぱり好きなキャラとかですか?」


「えっと…それは…」


そう言わると返信に困ってしまう。

ナイトさまの出ているセーラーピンクは大好きなアニメだが、改めてナイトさまは好きなキャラか?と聞かれると素直に好きとは言えない。

レイヤーの誰かのブログで読んだ事がある。

『そのキャラに愛が無ければそのコスはするべきではない』

そのブログを読んだ上でナイトさまをやりたいなんて思ってしまう自分はコスプレイヤー失格ではないだろうか?


「ボクは…純粋な思いでそのコスをしたい訳では無くて…その…何て言うか…」


「じぃーっ」


「え?」


セーラーブルーのカラコンの効果で青くなっている瞳が上目遣いで自分を見ていた。

効果音を口に出す人間始めて見た。


「もしかして、レイヤーをしている女の子に恋してその子に近付きたくてレイヤーになりたいとか?」


「な、な、何故それを…?」


心が読まれるなんて予想していなかったから、何て言えばいいか分からず噛み噛みになってしまった。


「私もそうだからだよ」


これまたセーラーブルーは思いがけない言葉を投げ掛けた。


「私も偶然コスプレのイベントで出会ったレイヤーさんに一目惚れして、彼に近付きたくてレイヤーを初めたから」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ