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ラブスタ当日

ついにやってきたラブスタ当日。

長い長い行列が特設会場へと続いているのを横目に高志が着替え終わるまでの時間を更衣室近くの廊下で1人待っていた。


結局…。

ボクはカメラマンとして参加する事にした。

参加費を払って入場証をもらったボクは奇抜な髪の色、派手目のメイクをして行き交う人々を見てた。

前回の時もそうだったが、知っているアニメキャラの格好をしている人を見るとテンションが上がる。

みんなレベルが高くてどうしたらあそこまでクオリティを上げる事ができるのだろうと感心してしまう。


そして…。

ここに来て始めて知ったのだが、今日偶然にもこのビルの展示場で『セーラーピンク』のイベントをやっていたのだ。

セーラーピンクの名シーンや劇場で使われていたシーンを再現した小道具などが置かれているらしい。

ちょっと入ってみたい気もしたが、女の子達が圧倒的に多いのを見るとさすがに男1人で入るのは気が引ける。

しかし…。

この行列を見るだけでもセーラーピンクの人気がどれ程の物かがよく分かる。

展示場の外にはセーラーピンクの大きな看板が飾られており、そこを撮影している群れをぼんやり見ていると。

看板の前によくできたセーラーピンクのモニュメントが置かれていた。

モニュメントなのに、生気が宿っていて今にも動き出しそうな…。

肌の色もプルプルとした唇も柔らかそうな肌も、まるで本物ののセーラーピンクではないかと…。

そのモニュメントの前には大勢の撮影者達がいた。

次々と撮影者が譲り合いながら撮影していっていた。


ん?ん?んー?


突如モニュメントが動き出した。

一定のポージングを取っていたセーラーピンクがすくっとポーズを変えた。


え?え?えーーーー?


モニュメントだと思っていたセーラーピンクは本物のセーラーピンクだった。


ちょっと語弊があったな。

本物の人間だった。

撮影者の要望に答え様々なポーズを取るセーラーピンク。


彼女は…、ボクがあの日心を奪われたセーラーピンクであった。

こんなにも早くまたあのセーラーピンクに会えるなんて思って無かった。

アニメからそのまま出てきたような容姿。

アニメそのものの空気を醸し出したセーラーピンク。

一瞬彼女と目が合う。


その瞬間目が離せなくなった。


何のコスもしていないボクだから、きっと気付かれたに違いない。


それでも、ボクに向かって笑顔を浮かべてくれた彼女の姿をそのまま焼き付けたくて、気が付いたらシャッターを切っていた。

彼女はボクのためにセーラーピンクの決めポーズをしてくれた。

今の彼女は、ボクの妹の友達の心音ちゃんでも無ければ、声優の黒崎愛音でも無い。

正真正銘のセーラーピンクだった。


他の撮影者に彼女が声を掛けられるまで、今のこの瞬間を永遠の物にしたくて、ボクはシャッターを押し続けていた。

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