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九 宿屋バルザ
再び会うアステルとレマ。二人の間に芽生えていくもの。
僕らは「宿屋 バルザ」に入った。
あのレマがいる宿屋である。
受付の手前にレマが来て、迎えてくれた。
僕らは足をお湯に浸け、洗ってもらった。
レマは言った。
「こちらの方は?」
「クライトと申します。聖職者です」
「アステルさん、私が聖職者と言ったら聖職者の友達を見つけましたね」
僕は応じた。
「偶然出会ったんだ。探したわけじゃないよ」
「でもよかった。これで仕事の安全が確保されたわけですから」
僕らは奥の部屋でロブスターを食べた。
他はパンとワインのみ。
僕は言った。
「ああ、仕事のあとに渋い赤ワインを飲んでぐったりと眠るのは、本当に幸せなものだよ!」
「そうだね。でも僕は少しにしとくよ。ラノ教の神官はあまり酒を飲んじゃいけないんだ」
「そういう自制心とひきかえに、治療の魔法が使えるわけだ」
「神は神官が深酒することを好まれないんだよ」
つづく