六 クライト
アステルはまた運命の出会いをする。その相手は聖職者。彼は優しい男だった。
斧は重く、威力があった。
コボルドの頭をやすやすと割った。
草原でコボルドを狩っていると、聖職者ふうの服装をしてメイスでコボルドと戦っている美男に出会った。
彼はコボルドの脳天を叩き、とどめを刺すと、こちらを向いてあいさつをした。
「やあ。君も戦士なんだね。僕はクライト。聖職者です」
「君は治療の魔法が使えるの?」
「もちろん。怪我をしているところはない?」
「今は、ない」
「一緒に食事をしましょう」
クライトは草原に腰を下ろし、背負い袋からパンとチーズを取り出し、その一部を僕に分けてくれた。
「ありがとう」
僕も座って食事にした。
クライトは言った。
「神が草原に行きなさいと言ったから来ました。ここで誰かと出会うはずだって」
「僕なんかと出会って嬉しい?」
「君は人間不信なの?」
「そうだよ。色々と嫌なことがあった。でも、いいこともたくさんあったんだ。だから考え方を変えなきゃいけないとも思う。人生がつらいことの連続であるなら、それでもいいことがあるってことは、幸せなことなんだ」
つづく