五 レマ
「僕」は宿屋で運命の出会いをする。その女はレマといった。
懸命にコボルドを狩った。力が付いてきたのでゴブリンを狩ったりもした。
そして二ヶ月。ようやく斧と盾が買えた。
斧は手斧で、それほど重くない。盾は金属で覆われた木の盾だ。
でもこんなに出費が多いと一向に金が貯まらない。何のために仕事をしているのか。金を貯めて未来を築くためではないのか。
ある日ぜいたくのために宿に泊まった。
その宿にレマ・ディルーはいた。
レマは池で育てた淡水魚や豚肉、野菜などの料理、ワイン、果物を運んできてくれた。僕はもう風呂に入って汗を洗い流した後だった。
レマは僕に笑いかけた。
十八くらいだろうか。
僕に好意があるようだった。
聞いてみた。
「恋人はいるんですか」
レマは、いません、と答えた。
「僕と一緒にならない?」
「お仕事は?」
「狩人」
「将来性はあるんですか」
「それは……」
「男の人の夢物語にはついていけませんね」
「いつかトロルでも倒せるようになって、いい暮らしをさせてあげるよ」
「明日にでもトロルを倒してください」
「じゃあ、待ってて。一生懸命戦いの腕を磨くから」
「アステルさんは戦士なんですね。狩人は、戦士に決まってるけど」
「そうだよ」
「聖職者と組まないとだめでしょう」
「そうだね。その辺も考えないといけない」
つづく