三十四 休憩
コボルドを皆殺しにしたアステルたちは倒木の上で休憩を取る。
政治は汚い。
王も大臣たちも信用に値しない。
怪物は狩る必要がある。でもなぜ十年前から怪物などが現れたのか。
それは謎である。
何か汚い陰謀が渦巻いているのだろうか。それともそれは考えすぎなのだろうか。
コボルドを二十二匹狩って、僕らは息を弾ませていた。
倒木に座って休み、呼吸が落ち着いてきたら、安全水を飲み、菓子を食べた。
クライトは言った。
「疲れたよ。……でも、ここまでひどく怪物をやっつけると、後味も良くないね」
僕は答える。
「そうだね。怪物が人を傷つけるから、狩るしかないんだけど、共存の道はなかったんだろうか」
「トロルなんかすごく凶暴だそうじゃない。人間はやっぱり怪物を狩るしかないんだよ」
「そうだね」
シルヴァが言った。
「勝手な言い分だな」
僕が応じる。
「じゃあ、怪物が人間を傷つけるのをそのままにしておけっていうの?」
「だからって怪物を根絶していいのか。妖精族にも同じことが起こった。最近でこそそんなことは起こらないけど、昔は人間が無抵抗の妖精を殺していたんだ。怪物にしたって、人間と怪物のどっちが先に相手を殺したのか」
僕には言う言葉がなかった。
つづく




