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二十 神の作った世界
ラノ教によると、この世界は神が作ったものである。
ニウダの街に戻った。
オークの首は八万リントになった。
宿屋バルザでもシルヴァの黄緑の髪は奇異に受け取られた。
女将は言った。
「この方は?」
僕は答える。
「妖精族と人間族のハーフで、シルヴァっていいます」
シルヴァは浮かない顔で、よろしく、と言った。
「そうですか。妖精族……」
僕らは部屋に通された。
部屋には花瓶があり、花が活けてあった。
そこにレマが来た。
レマはまだあどけない顔だ。
「妖精族の方は何を召し上がるんでしょうか」
「魚か植物性のものを。肉はあまり好きじゃない」
「じゃあ川魚と芋と野菜のスープにしましょう」
シルヴァはしこたまワインを飲んだ。
妖精族とは酒に強いものなのだろうか。
シルヴァの微妙な立場を考えると、酒ばかり飲みたくなる気持ちもわかる。
ラノ教によると、僕らは神の作った世界で幸せに遊ぶために生まれてきた。
しかし、実際には仕事をしなければならないし、苦労が多い。
こんな不完全な世界を作ったラノ神は一体何なのか。
そうこぼすと、神官のクライトは苦笑いした。
つづく




