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二 夕日
塀の内側ではテントを張ることが禁止されている。だから「僕」は塀の外にテントを張る。
憂鬱を抱え、夕日を受け、泣きながら町の外塀までの道を歩いた。
塀の外には、もうたくさんのテントが張られている。みな怪物の狩人だ。
ああ。僕の人生は先行きが見えず、ただ毎日コボルドを狩っているだけだ。
身分証明書を持っていない。怪物狩りのライセンスを持っていないから、信用が低い。だから共同住宅は借りられない。
毎日毎日、剣を振ってコボルドを狩る。
遠くに行ってトロルなんかの強い怪物を狩って金をたくさん手に入れることもできない。それだけの力量がない。
せめて、剣を斧に持ち替えようか。斧の方が使いやすいかもしれない。
でも斧も五千リントはするのだ。それに斧は受け流しが難しそうだ。
やはり手になじんだショートソードが一番いいのか。
いつ春は来るのだろう。こんな貧乏剣士と誰が結婚してくれるというのか。
でも、いつかこのどん底から這い上がって、家を持ち、結婚するのだ。
毎日毎日剣の腕を磨いていれば、いつかきっと……
つづく