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十五 女王
妖精の森に入って出会ったのは、予想通り、美人ではない妖精の女王だった。
事実、女王は美人ではなかった。
女王は言った。
「あなたたちが戦士なら、ペンダントをあげましょう。妖精族と魔物たちは対立していますから」
クライトは応じた。
「ありがとうございます。助かります」
「そのかわり」
「そのかわり?」
「魔物を百体倒して頂きます」
「百体も?」
「ペンダントをかけてから百体倒したら、ペンダントの効果が現れます」
「なぜそんなふうにするのですか」
「ペンダントを差し上げるかわりに、魔物狩りをしてもらおうということです。つまりそれはペンダントの対価です」
僕は言った。
「倒すのはコボルドやゴブリンでもいいのでしょう?」
「はい。トロルでも構いませんが」
そう言うと、女王はポケットからペンダントを二つ取り出した。緑の石が入った繊細な感じのペンダントだった。
「申し遅れました。私はベルラ・ダヴィアといいます」
僕らも名前を言った。
「ちょっとお茶でもどうでしょう。野草茶がありますから、どうぞ」
つづく




