きっと、余計なこと。
「――ありがとうございました、朝陽先輩。それでは、引き続き楽しいお時間を」
【いえ、こちらこそありがとうございます織部さん。本当に、とても楽しかったです。お仕事、頑張ってください】
「ふふっ、まあ頑張ることなんてないですけどね。看板持って歩くだけですし」
それから、しばらくして。
そう、可笑しそうに微笑み告げる織部さん。今、僕らがいるのはそこかしこに個性豊かな屋台の見える賑わう構内――ちょうど、プラカードを掲げる彼女と会った辺りで。そろそろお仕事に戻らなければとのことで、ここでいったんお別れとなり……それにしても、好きに休憩を取って良い中、こうして自分の意思でちゃんと仕事に戻る辺り彼女らしいと改めて思う。
……さて、どうしようかな。屋台はさっきまで織部さんと回ったし、メイドカフェは僕が行くのも彼女は嫌みたいだし……うん、やっぱり一つしかないか。
そういうわけで、再び校舎の中へと足を進め三階へ。目的地は、二年B組――斎宮さんと日坂くんのいる和風喫茶で。
正直、最初から行きたいとは思っていた。でも……なんか、申し訳ないなあと。一人欠席してしまっていっそう忙しいであろう中に、僕一人遊び気分で訪れるというのは流石に気が引けて。
でも、行かないのもそれはそれで違うのかなあと思い直して。こう、頑張ってる姿を一目でも見ないというのは、それはそれで友達として申し訳なく……はい、ごめんなさい言い訳です。ほんとはただ僕が行きたいだけで――
「…………へ?」
そう、ポツリと洩らす。と言うのも、二年B組の教室がぼんやり見えてきたのだけど……なんか、忙しそう、すぎる? いや、人気があるのは分かってたしもちろん良いことなんだけど……でも、何と言うか――
「……なんか、すっごく大変そうじゃない?」
「うん、なんか三人くらい少ない状態で回してるみたいで」
「……うわぁ、それはガチでキツい。私もバイトしてるけど、一人急に休んだだけでめっちゃキツいのに」
すると、ふと届いた若い女性二人の会話。恐らくは大学生くらいかと思うけど、それはともあれ……三人? 確か、斎宮さんは欠席者は一人だと……途中で、更に二人抜けてしまった? 例えば、怪我や急な体調不良で。
ともあれ、教室に近づき室内を窺う。すると、果たして必死な様子で教室内を駆け回る数人の生徒。その中には、斎宮さんと日坂くんの姿も。見た感じ、二人が中心となってお店を回しているようで。そして、ここからはあまり見えないけどきっとそれ以外――接客以外の担当の人達もきっとものすごく大変で。
「…………」
……うん、分かってる。きっと、余計なこと。部外者でしかない僕が、出しゃばって良いことじゃない。……だけど、それでも――
ささっとペンを取り、メモ用紙へ用件を簡潔に記す。そして、一礼し徐に教室内へ歩みを進める。そして、一番近くにいた生徒へおずおずと声を掛け――
【……あの、すみません。もし、ご迷惑でなければなのですが――】




