いよいよ本番です。
――それから、二週間ほど経て。
「――さあ、今日はいよいよ文化祭。みんな、最高に楽しもうぜ!
二年E組の教室――その中央で囲んだ円陣の中で明るい声を上げる男子生徒、石川くん。そして、彼の言葉にみんなも大きな声で答える。……うん、良いなあこの感じ。こう、みんなで一体となる雰囲気がすごく。
さて、たった今石川くんが言ったように、本日は文化祭当日。たった二週間ではあったけど、体育祭の時のようにみんなで力を合わせて頑張ってきたわけだし……うん、最高に楽しもう!
「――ありがとうございました、またお越しくださいませ!」
「……あ、ありがとう、ございました」
それから、数十分経て。
隣から、明るい声で感謝を告げる女子生徒。僕と同じくタコ焼きの屋台を担当してくれている、クラスメイトの西条さんだ。……ところで、クラスメイトとは言ったものの……友達、と呼んでも良いのかな? もしかすると、そう思ってくれているのかな? 僕のこと。……うん、ちょっと聞いてみ――
「――あっ、いらっしゃいませ!」
「……あっ、いらっ……」
すると、新たに来てくれたお客さんを明るく迎える西条さん。……うん、今はしっかり集中!
「――いやー疲れたね新里くん! でも、嬉しいな。お客さん、いっぱい来てくれて!」
【はい、西条さん! とてもありがたく、大変作り甲斐がありました】
それから、数十分経て。
数分ほどの休憩中、ほのぼのとそんなやり取りを交わす僕ら。うん、思ったよりたくさんの方が来てくださって。それも、全て――
【……その、ありがとうございます西条さん。西条さんが明るく笑顔で応対してくれていたから、皆さん喜んでくださって。一方、僕はほとんど声も出せなくて……】
「ううん、それはしょうがないよ。新里くんが声を出すのが苦手なのは知ってるし、そもそもそういう約束だったじゃん。私が応対を担当して、新里くんが調理を担当するって。それに、喜んでくれたのはタコ焼きが美味しかったからだよ。ほんとに美味しいもん、新里くんのタコ焼き」
【……西条さん……ありがとう、ございます】
すると、僕の言葉にニコッと笑い答えてくれる西条さん。彼女自身、アルバイト先のカフェで接客を担当しているみたいでテキパキと、それでも丁寧に応対を続けてくれて本当に頼もしかった。お陰さまで、僕はひたすら調理をしているだけで――
「……さて、もっと話していたいけどそろそろ仕事に戻らなくちゃね。お客さんも待ってくれてるみたいだし。それじゃ、もうひと頑張りしよっか新里くん」
【はい、改めて宜しくお願いします西条さん】
すると、すっと立ち上がり告げる西条さん。そんな彼女に、僕もすっと立ち上がり答える。よし、ここからも頑張ろう!




