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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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自由行動はまだまだ続く?

「…………ふぅ」 



 それから、暫くして。

 すっかり黒のカーテンが掛かった空の下、澄んだ空気を感じながら軽くランニングをする僕。見上げると、空には燦々と幾千もの星が輝いていて。なんて素晴らしい世界なのだと、今一度改めて感謝の念を覚える。


 ところで、今の時間は基本、外出は禁止とされています。なので、僕が今ここにいることは大変宜しくないのだけど……うん、なんかどうしても……まあ、でも大丈夫、だよね? と言うのも――本来は二人一組で部屋を使うことになっていて、仮にその内の一人が規則に違反しようものならもう一人も連帯責任となってしまう。


 だけど、そこは僕……まあ、最終的にあぶれてしまい一人部屋に……なので、僕が怒られようと連帯責任は生じないので誰にも迷惑は掛からな……いや、まあそういう問題じゃないんだろうけど。まあ、それでもやはり多少なり安堵は覚えてしま――



「――あっ、不良少年だ」


 すると、不意に届いた少し揶揄からかうような声。今日、幾度も――それでも、幾度聞いても心地の良いお馴染みの声。ともあれ、ほどなく足を止めその方向――右前方へと視線を移し、



【――それはお互いさまでしょう? 不良少女さん】

「ふふっ、そうだね」


 そう、微笑み答える。果たして、そこには悪戯っぽい微笑を浮かべる斎宮さいみやさん。だけど、この時間の外出禁止は当然ながら全生徒共通――なので、本来なら今ここで会うはずはないのだけど……でも、正直のところそれほど驚いてもいなくて。むしろ、どうしてか……本当にどうしてか、きっと会うんじゃないかという不思議な確信すらあって。





「それで、新里にいざとはどうやって抜け出してきたの? 同じ部屋の子とかにバレそうになったりしなかった」

【ああ、それなら大丈夫です。そもそも僕は一人の部屋なので、誰かにバレてもそこまで必死に止められることもなかったでしょうし】

「ああ、なるほど。まあ、そもそもそうじゃなかったら新里が規則なんて破れるはずないもんね。誰かに責任を負わせるようなこと、貴方が出来るはずないし」


 その後、ほどなくして。

 お互い可笑しそうに微笑みつつ、ほのぼのと会話を交わす僕ら。まあ、内容はあまりほのぼのとは言えないかもしれないけど。


 さて、僕らがいるのは近くの公園――澄み切った夜空の下、小さなベンチに二人腰掛けているわけで。



【それで、斎宮さんはどのように抜け出してきたのですか? よもや、僕のように一人のお部屋ではないでしょう?】


 その後、流れに沿いそう尋ねてみる。そして、実際に大いに気になるところではあって。人気者の斎宮さんが僕のようにあぶれるはずはないし、だとしたら抜け出すのは相当に困難なはず。それに、例え出来たとしてもバレてしまったら同部屋の生徒も連帯責任……なので、会う確信があったなんて言ったものの、こうして彼女が出てきているのはやはり不思議ではあって――



「……うーん、何と言うか……まあ、一言で言えば利害の一致かな?」

「…………へっ?」


 すると、ややあって届いた思い掛けない言葉。……利害の、一致? それは、いったいどう――


「――同部屋の子がね、なんと昨日、この旅行中にめでたく彼氏が出来たみたいなの。確か、D組の子って言ってたかな。それで、昨日の今日だし気持ちが昂っちゃってるんだろうね。どうしてもその彼氏さんの部屋に遊びに行きたいみたいで。

 でも、知っての通りこの時間、異性の部屋に行くのは禁止じゃん? つまりは、バレたら同部屋のあたしまで連帯責任になっちゃう。でも、その子の気持ちも分からないでもないし……というわけで、こんな提案をしてみたの。彼氏さんの部屋に遊びに行ってもいいから、あたしもちょっと外に出てくる。それでどっちかだけがバレるかもしれないし、両方バレるかもしれない。

 でも、いずれにせよそれなら仕方ないよねって。両方バレたのなら両方怒られて当然だし、どっちかだけがバレても、二人とも相手を巻き込むリスクを犯してるんだから、そこは諦めて二人で怒られよって。だから……まあ、お互い罪悪感みたいなものはあんまりないかな」

「……ふふっ、なるほど」


 そう、悪戯っぽく微笑み話す斎宮さん。そんな彼女を見つめながら、僕も思わず笑みが洩れる。ほんと、敵わないなぁ。






 


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