自由行動
「それで、新里はまずどこ行きたい?」
【……そうですね……斎宮さんは、どこかご希望はありますか?】
「……うーん、そうだね……」
その後、さながら異国のような街を歩きながらほのぼのとやり取りを交わす僕ら。ちなみに、元々は日坂くんと三人で、という予定だったのだけど……斎宮さんのお話によると、昨日の夜、自分は別の友人と回るから二人で楽しんでこいと伝えられたとのことで。もちろん、どんな選択をしても日坂くんの自由なので文句を言う筋合いなんてないのだけど……きっと、フェアじゃないとか思ったんだろうな。この二日、二人は同じ班で行動していたそうだから、それで……全く、ライバルとか言ってたわりに、お人好しにもほどがあるよ、日坂くん。
すると、少しの思案の後そっと頷く斎宮さん。それから、ゆっくりと口を開き言葉を紡ぐ。
「……うん、沖縄だしやっぱりまずは――」
「……うわぁ、やっぱり綺麗。やっぱ沖縄に来たらこれは絶対見なきゃね!」
【……はい、写真で見るよりもいっそう綺麗ですね】
それから、15分ほど経て。
そう、感嘆の声を洩らす二人。そんな僕らの視界には、一面に広がる透き通る海。いつか写真で見た、あのエメラルドグリーンの海で。……うん、ほんとに綺麗。
ちなみに、僕らがいるのは海辺ではなく――少し遠くの方から、こうして渺渺と広がる綺麗な海をのんびりと眺めているわけで。と言うのも、二人とも眺めるのは好きだけど、海で遊ぶことは少し苦手だからで……うん、こんなちょっとした共通点でさえ、胸がほんのり暖かくなる心地がして。
【……ところで、お話には聞いていましたが……皆さん、本当に水着ではないのですね】
ふと、そう口にする。……いや、口にはしてないけども、それはともあれ――聞いた話によると、沖縄ではその陽射しの強く故に、海で過ごす際Tシャツやラッシュガードというスポーツウェアを着用するとのこと。そして、今まさにその光景を目に――
「……ふうん、そっか。新里は水着姿の可愛い女の子が見たかったんだ、やらしぃ〜」
「…………へっ?」
すると、どうしてかジトッとした目でそんなことを言う斎宮さん。……いや、決してそんなつもりで言ったんじゃないんだけども。ともあれ、誤解を解くべく口を開き――
【……その、決して誰も彼もの水着姿が見たいわけではなく……その、僕が見たいと思うとすれば斎宮さんくらいで――】
「……へっ?」
「……あっ、いえその!」
……うん、何を口走っているんだろうね僕は。誤解を解くどころか、これではいっそう気持ち悪いと思わ――
「……ふ、ふぅん。そっか……うん、まあ、機会があれば、ね?」
「…………へっ? あ、はい……」
すると、少し目を逸らしつつそう口にする斎宮さん。心做しか、その綺麗な頬が朱に染まって……あれ、思ってたのと違う?
ともあれ、暫し何ともぎこちない雰囲気で時間を過ごす僕ら。……うん、もちろん嫌ではない。ないのだ、けども――
【……あの、斎宮さん。ここらで一つ小噺など――】
「なんでだよ」




