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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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81/111

二学期です。

「――おはよう、皆。こうして一人も欠けることなく皆の顔が見られて、本当に嬉しいよ。今日からまた宜しくね」



 それから、一週間ほど経て。

 教壇にて、柔らかな微笑で話し掛ける先生。そんな彼の言葉に、改めて心が躍る。と言うのも、言わずもがなかもしれないけど今日は始業式――待ちに待った、二学期始業式の日で。やった、また登校できる! また教室ここでみんなと勉強できる! 日坂ひさかくんや織部おりべさんにまた会える! 毎日、斎宮さいみやさんに会える!




「いやー久しぶりだね! ここで、こうして新里にいざとと会うの」

【はい、斎宮さん。この日を心待ちにしておりました】

「うん、あたしも!」


 それから、暫くして。

 久方ぶりの空き教室にて、テンション高めにやり取りを交わす僕ら。こうしてまたここで話せることも嬉しいし、斎宮さんも同じ気持ちでいてくれることでいっそう嬉しくなる。


 その後、他愛もない話に花を咲かせているとほどなく日坂くんが来訪。これまて久しぶりに三人で話したり卓球をしたりと大変楽しく充実した時間を……うん、こんな日がまたずっと続くといいな。




 ……ところで、それはそれとして――



「……ところでさ、新里。最近、織部さんと話した? もしくは、ちょっとした連絡とか……」

【……いえ、最近は何も……】

「……そっか」



 それから、二週間ほど経て。

 空き教室にて、少し躊躇う様子で切り出す斎宮さん。恐らくは、今日のどこかで話そうと思っていたのだろう。


 そして、僕もずっと気にかかっていたことで。と言うのも――夏休みに入る二週間くらいから、すっかり空き教室に姿を見せなくなっていて。



 さて、改めて説明すると――七月上旬のある日を境に、彼女はめっきり空き教室に姿を見せなくなって。尤も、夏休みを挟んでいるので実質は前後合わせて四週間くらいなんだけど……それでも、それだけの期間、彼女が姿を見せなかったことはそれまでなくて。

 ちなみに、夏休みに関してだけど――迷惑かなとは思いつつ何度か連絡をしてみても、応答は一切なく。……まあ、僕が嫌われてるだけなら構わない。すごく悲しいけど、それなら仕方がないわけで。


 だけど……きっと思い上がりでなく、それはないかなとも思う。と言うのも、学校には来ているみたいで、校舎内で出会でくわすことも時々あるんだけど、その際の印象から嫌われてるようにはとても思えなくて。なので、そこに関してはホッと安堵を……うん、ほんと嫌になるね。こんな浅ましい自分が。



 ……ただ、それはそれとして――


「……やっぱり、心配だよね」

「……はい、とても」


 そう、言葉の通り心配そうに呟く斎宮さん。そんな彼女に、僕も全面的に同意を示す。もちろん、ここに来るも来ないも織部さんの自由……寂しくはあるけど、来ないこと自体は仕方がない。


 だけど、校舎で会った際――話していないと言ったものの、厳密には会話一つしていないというわけではないのだけども――その際、織部さんの様子がそれまでと異なって……具体的には、どこか元気がないように見受けられて。



 ……うん、分かってる。余計なお世話だって、分かってる。だけど……それでも、彼女のために何か出来ることがあれば、と思わずにはいられなくて。

 



 




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