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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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思い出の場所

 その後、タコ焼きをシェアしたり射的で勝負したりと頗る楽しい時間ときを過ごした僕ら。いや、射撃が上手いのなんのって。そして、きっと自分は狙撃手スナイパーの末裔だなんて言い出して……うん、思い掛けず彼女の新たな一面を知れて僕は満足です。……まあ、それはともあれ。



【……あの、斎宮さいみやさん。その、もうすぐ花火ですが……もし宜しければ、僕のオススメの場所で見ませんか?】

「へえ、オススメの場所……もしかして、あたしのために探してくれたの?」

【……あ、えっと……すみません。その……昔、両親とよく見ていた場所で、僕が探したわけでは……】

「ふふっ、なんで謝るの? ……そっか、ご両親と……うん、素敵だねっ、そういうの」



 そんな会話の後、ゆっくりと歩みを進める僕ら。道すがら、楽しそうな彼女の笑顔を見ながら思う。気に入ってくれるといいな、なんて。



 その後、ゆっくり閑談を楽しみつつ歩くこと十数分。到着したのは――



「……うん、確かにいい場所だね」


 そう、沁み沁みとした様子で告げる斎宮さん。恐らくは、気遣いでなく本当にそう思ってくれている様子にほっと安堵を覚える。いや、オススメなんて言ったはいいものの、快く受け入れてくれるかどうかはやっぱり分からなくて。



 さて、そんな僕らがいるのは神社――ではなく、神社そこから少し離れた公園。遊具らしき遊具が何もない小さな公園にて、ただ二人ベンチに腰掛けているわけで。



「それにしても、ちょっとした盲点だよね。神社でのお祭りなんだから、来てる人は普通は神社そこで見ようとするだろうし……まして、そんなに近くもない公園ここに来ようなんてまず思わないだろうし」

【はい、そうなんです! 僕も、最初に連れて行ってもらった時はびっくりして!】


 続けて、そんなやり取りを交わす僕ら。花火が上がるには、もう少し時間もあるし……いや、そんなにはないかな?


 ところで、やはりと言うか――今、ここには僕ら以外には誰もいない。まあ、昔も毎年ほとんど――僕らと同じく、お子さん連れのご家族が一組いたくらいでほとんど誰もいなかったし、それに――



「――あっ!」


 すると、隣から弾けた声が響く。理由は……まあ、問うまでもなく。彼女の視線を追うように、僕もゆっくりと視線を移し――



 ――パーン! 



 ――直後、澄み切った夜に満開の花が咲いた。




「……綺麗だね、新里にいざと

「……はい、とっても」



 その後、次々と咲く色とりどりの花を眺めながら言葉を交わす僕ら。何とも定番っぽいやり取りではあるけれど……でも、こうして自然と口をつくからこと定番そうなったのかも。


 でも……これまた定番なんだろうけど、やっぱり花火よりも――


「……花火よりも、あたしの方が綺麗……なんて思ってたり?」

「……へっ? あ、その……はい」

「……そっ、そっか……うん、ありがと」


 そう、何ともたどたどしく言葉を交わす僕ら。……うん、さっきから定番それっぽい会話ことしかしていない。このままでは、いいかげんオチはまだかとのごツッコミを頂く可能性も――



「……それにしても、ほんとに久しぶりだね、ここで見るの」

「…………へっ?」



 不意に届いた、斎宮さんの思わぬ言葉。久しぶり、というのはともかく……今、確かにここでと――


「……ねえ、新里。昔、ご両親と一緒に来てたって言ってたけど……その時、他にもいなかった? 家族らしき人達」

「……へっ? あ、はい……」


 そんな疑問の最中さなか、続けて届いた彼女の言葉。前述の通り、そして彼女の言うように、僕ら以外に一組ご家族らしき人達はいた。まあ、どんな人達なのかは分からなかったけど。それなりに距離があったし、時間も時間だし……何より、他人ひと様をじっと見つめるなんて、当然ながら当時の僕にも出来るはずなどなくて。……でも、どうして斎宮さんがそのことを…………あっ。



「……どうやら、分かったみたいだね。うん、その家族らしき人達って……あたし達だよ」

「……そう、だったのですね……」



 そう、唖然と呟く。……うん、びっくりだよね。あのたった一組が、よもや――



「……うん、あたしも驚いた。あっ、新里くんだって。……でも、話し掛けられなかった。あの時は、まだ貴方のことほとんど知らなかったし……それに、あの時は、あたしも……」

「……斎宮さん」


 すると、仄かに微笑みそう話す斎宮さん。あの時は、あたしも……その続きは、流石に察せられないはずもなく。だって、あの頃の彼女は――



「……だから、嬉しい」


 そんな思考の最中さなか、呟くようにそう口にする斎宮さん。そして――



「……こうして、誘ってくれたこと。偶然でも、顔も合わせてなくても……あの時、貴方といたこの場所で、こうして一緒に花火を見れたこと……あたし、すっごく嬉しいんだよ? 新里」



 そう、パッと咲くような笑顔で告げる斎宮さん。夜空の花よりずっと綺麗な、満開の笑顔で。







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