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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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8/10

ミッション開始?

「――それじゃ、早速始めよっか。新里にいざと

【……あっ、はい、宜しくお願いします!】

「ふふっ、何それ」



 翌日、放課後のこと。

 フロア隅の空き教室にて、可憐に微笑み告げる斎宮さいみやさん。始めるというのは、言わずもがな例の件についてだろう。そういうわけで、


【……それで、まずはどうしましょう? 告白?】

「いや早いよ!! 確かに告白するって言ったけど早すぎるよ!!」


 例のごとく筆記による僕の問いに、どうしてか猛烈な勢いでツッコむ斎宮さん。あれ、違った?


「……えっと、ひとまず情報収集……みたいな? ほら、慣用句にもあったじゃん? 将を射んと欲すれば先ずなんとかを射よ、みたいな」

【……ああ、トゲアリトゲナシトゲトゲですね】

「そうそう、トゲアリトゲナシトゲ……いや違う!! というかどちら様!?」

【あれ、あの斎宮さんともあろうお方がご存知でない? トゲアリトゲナシトゲトゲとは、トゲハムシ亜科に属するハムシの一種で――】

「どの斎宮さん!? いやご存知ないよ!! ハムシしか知ってる単語なかったんだけど!! あと、結局トゲはあるの!? ないの!?」

【そうですね、結論から申しますとトゲはあります。ですが、普通のトゲトゲのように全身にあるわけでなく、あくまでトゲナシトゲトゲの羽の後ろだけにトゲがあるのでこのような――】

「ごめんやっぱいい!! そもそも普通のトゲトゲとやらを全く知らないし、正直あんまり興味もないし!!」

「……そうですか」

「……いや、本気でシュンとしないでよ。どちらかと言えば別の時に見せてほしかったよ、そういう表情かおは」

「……別の時、ですか? それは、いったい……」

「……ううん、なんでもない。それより、そろそろ本題に戻……あれ、何の話してたんだっけ?」

【ああ、将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、という慣用句のところで止まってましたね】

「やっぱ知ってたんじゃねえか」




「……ねえ、新里。今更なんだけど、一つ聞いてもいいかな」

「はい、もちろんです斎宮さん」

「まあ、仮に駄目と言われても聞いてたけど……今、何してるのかな? あたし達」

「……えっと、情報収集?」


 空き教室での、他愛もないやり取りから数十分後。

 少し息を潜め尋ねる斎宮さんに、同じく息を潜め答える僕。……いや、答えられてないかな?


 ともあれ……そんな僕らがいるのは、一階に在する生徒会室の外側そと――低い石壁にて仕切られた植え込みの辺りで。そして、些か体勢を落としつつ窓の外からこっそり室内なかの様子を……うん、ほんと何してるんだろうね。



 ――ところで、それはそれとして。


【……あの、斎宮さん。何とも驚くべきことに、僕にしては先ほどから随分と声を発せている気がするのですが……どうしてでしょう?】 

「いや知らないけど!? ……でもまあ、あたしもそれは思ってたし、それ自体は良いことだけどさ。でも、流石にあたしに聞かれても分かるわけないと言うか……なんか、思い当たる理由とかないの?」

【そうですね……理由があるとすれば、きっとお相手が斎宮さんだからでしょう。なんと言いますか、すごくお話ししやすいですし】

「――っ!? 不意打ち禁止!!」

「……へっ?」


 すると、不意に身体ごと僕に背を向けそう言い放つ斎宮さん。……あれ、なにかまずいこと言ったかな?





 

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