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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海
第2章

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夏休みです。

「――さて、これで終わるけれど……皆、楽しんでほしいけど羽目は外しすぎないようにね。一ヶ月後、元気で会えることを願ってる。それじゃ、良い夏休みを」



 ただでさえ相当の暑さがピークを迎える、七月下旬のある日のこと。

 教室にて、先生の言葉にワッと歓喜の声が上がる。まあ、それもそのはず。何故なら、今日は終業式。即ち、今先生が言ったように明日からは夏休み……そう、きっと大半の生徒ひとにとって待ちに待った夏休みなのだから。




「いやーあっという間だったよね、一学期。でも、なんかすっごい充実してた気がする」

【そうですね、斎宮さいみやさん。僕も同じ気持ちです。むしろ、充実してたからこそあっという間に感じたのかもしれませんね】

「うん、あたしも今言っててそう思った!」


 それから、ほどなくして。

 例により空き教室にて、ほのぼのとそんなやり取りを交わす僕ら。いつも楽しいけど、今日はいっそう楽しさを噛み締めている気がする。それは、単純にこの時間が二学期までお預かりになる、というのもあるけれど――



「……こんなこと言うと、思い上がりになっちゃうかもだけど……ごめんね? 新里にいざと


 そう、言葉の通り申し訳なさそうに告げる斎宮さん。もちろん、謝る必要なんてどこにもない。ないのだけども――


【……いえ、謝る必要などありません。ですが、思い上がりでもないです。だって……やっぱり、僕はすごく寂しいですから】

「……新里。……うん、ありがと。あたしも寂しい」


 そう伝えると、安心したように……それでも、言葉の通り寂しそうに微笑み告げる斎宮さん。何のお話かと言うと、八月末までの夏休み――その大半を、斎宮さんはお父さまのご実家で過ごすことになっているというお話で。



「……まあ、毎年のことではあるし、おじいちゃんもおばあちゃんも好きだから帰ること自体は嫌じゃないんだけどね。でも、今年は……」

「……斎宮さん」


 そう、仄かに微笑み話す斎宮さん。でも、今年は――流石に、この続きが分からないほど鈍くはない……つもり。そもそも、さっきも寂しいと言ってくれてたし。


 ……まあ、今生の別れでもなし……どころか、たったの一ヶ月ほどなんだけど……それでも、たったそれだけが――



(……それに、やっぱり不安だし)


「…………ん?」


 ふと、微かに聞こえた声に首を傾げる。もちろん、僕なんかがそう思ってもらえるのは過分かつ至極恐悦なんだけど……それでも、寂しいというのは分かる。だけど、不安とはいったい――


「――いい? 新里。あたしがいないからって、油断しないこと! しょっちゅう電話して近況確認するんだからね!」

【……へっ、しょっちゅう電話してくれるんですか? やった、ありがとうございます斎宮さん!】

「まさかの好意的返答!? ……いや、まあ嬉しいんだけどさ……うん、これなら心配ないか」


 そんな疑問の最中さなか、突如降って湧いた朗報に思わず声を上げる僕。……いや、声は上げてないか。でも、まあ気持ち的に。


 だけど、結局のところ不安とはいったい……うん、まあいっか。どうやら、心配ないという結論になったみたいだし。







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