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07 どこか:裸の三人

 暗いがそこは決して闇ではなく、星と月があった。

 寒気を感じるほどきんと冷えた風が渡り、木々がざわめき、虫の声が聞こえる。

「むぅ」

 俺は背中のチクチクした感触に身をよじる。

 どうやら、ツキはあったらしい。

「う、うぅん……」

 隣で同じように、エルフとドワーフが呻くのが聞こえた。

「ファハン、ボグル」

「うまく行ったのか?」

「どうやらな」

 ファハンは身を起こし、それからこちらを見てぎょっとして目を見開いた。

「なんだよ」

「いや、お前……あぁ! そういうことか!」

 勝手に合点がいったようで、ファハンがウンウンとうなずいている。

 そのとなりで、ボグルが悲鳴を上げた。

「ロビン、服がないぞ!」

「へ?」

 なんてこった。道理で背中が草に当たってちくちくすると思った!

 目が慣れてくればわかる。俺は裸で、身につけているのは腰に巻いたボロ布だけ。ファハンも同じで、違うのはボグルがもう少し多めにボロ布をまとっているということだけだ。

「うわ! 俺の魔法の靴は?! 剣は?!」

「剣は捨ててただろ」

「そうだっけ」

「呪文がふたつあったんだ」

 ファハンは得意げに言う。

「一つは長い呪文、もう一つは短い呪文。わたしは迷いなく、短い方を選んだんだが……なるほど、そっちは緊急脱出用の呪文だったのだな。魔法の品物のことごとくをあそこに残してきたというわけだ」

「金貨は?!」

「どんどん袋なら重くなったから捨てちまったよ」

「じゃあ最初と同じじゃないか」

 まったくだ。

 俺たちが迷宮で出会ったときと同じ、裸で三人。ここがどこかもわからない。

 ファハンはろくに魔法を使えないし、ボグルは臆病、俺は音痴な詩人志望。

 俺は空を見上げた。

 星がちかちかと瞬いていて、月が白く輝いている。

 周囲に壁はないし、道は全くわからないが、とりあえず。

「どん詰まりじゃあない」

「ま、そうだな」

 ファハンは立ち上がって、ボグルに言った。

「おい、ドワーフ。ここどのへんかわかるか。あちこち回ったんだろう」

「これだけじゃあなぁ……。あの星座は見覚えがあるから北はわかると思う」

 俺はかたわらにあった、魔法のかかっていないギターを手にとって、それをひと鳴らししてみせた。

「それはいい。ひとまず歩いて、街道でも探そうじゃないか」

 それから、ボグルが帯に挟んでいた、ボロ布に移したジョイスの地図を取り上げる。

 俺たちはそれを適当な木の枝にぐるぐるに巻きつけると、ファハンの着火の呪文で松明にして、ボグルを先頭に歩きだした。

 なんだか世界が、ひどく広く感じた。


 END

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