ep.24 寝坊
「おい、ガブリエル。起きろ、遅刻するぞ」
殺生丸は、布団にくるまって熟睡している少年アンドロイドの肩を優しく擦った。もうすぐ時刻は七時半になる。
「いや拙者……食べ物は……喉を通らぬゆえ……」
「拙者って……独特な寝言だな……。こいつ、どんな夢見てんだ? てか、アンドロイドが夢?」
驚きと戸惑いで、殺生丸はその場でフリーズした。
カーテンの隙間から眩しい光が射し込む部屋。
そこは殺生丸が学生時代に使っていた部屋で、今はそのままガブリエルの部屋として使われている。
ハッと我に返った殺生丸は、ガブリエルの頬を抓りながら、起きろ起きろと連呼してみる。
すると、ガブリエルの瞼がスッと開いた。
「お、起きたか? お前、アンドロイドのくせに寝坊するなよ……」
「おはよう、殺生丸様。今、何時……?」
「いや、時計くらい内蔵してあるだろ? それとも、まだスリープモードですか?」
「僕の時計は七時半だよ? でも殺生丸様がこの時間に起きてたら、時計のほうを疑うよね?」
「そ、そうか……。時計は合ってるから心配すんな……」
ガブリエルは起き上がって、目をこすった。
「どこか調子が悪いのか?」
「悪くないよ、ちょー元気」
「ならどうしてアンドロイドのお前が寝坊するんだ?」
「わかんないけど、起きなきゃいけないって思うと、起きれないんだよね」
「人かお前は」
「それで、殺生丸様は何でこんなに早起きなの? まさか、僕が学校に行くところ、毎日見送りたくなった……?」
そういえば、登校初日も殺生丸が見送ってくれたことを、ガブリエルは思い出した。
殺生丸が毎朝ちゃんと起きてくれるなら、それはもの凄い成長だし、ガブリエルにとっても喜ばしいことだった。
「早起き……? というか、今からやっと寝るとこなんだが。おい、どうした? 急に枕投げたりして……」
ガブリエルは殺生丸の言動に呆れながら寝具を出ると、てきぱきと着替え始めた。そしてランドセルを背負うと
「じゃ、行ってきます」
「おう、行ってらっしゃい」




