表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/24

ep.22 秘密

 放課後の職員室。


「永島先生、ちょいといいかの?」


 背後から言われて振り返ると、女教師は目を見開いた。


「り、理事長……!?」


「ホホホ。そんなにかしこまらんでええよ」


 そうは言うが、この学校の創業家かつ最高責任者である。

 見た目こそ普通の老人だが、そこにいるだけで空気が一変するような、規律を感じさせる人物だった。

 そんな理事長に、永島先生は廊下に呼び出された。


「永島先生はいつもニコニコしていて、生徒からも人気じゃのう」


「いえ、私なんかまだまだです……」


「若いのに謙虚じゃのう。ところで、転校生の様子はどうかな?」


「ガブリエル君ですか? とても人気でしたよ? あのクラスにもすぐに打ち解けてくれそうです」


「それは良かった。実は担任の永島先生だけには伝えておきたい事があってのぉ」


「私に? なんですか……?」


 理事長は先生の耳もとで囁いた。


「……実はあの子、アンドロイドなんじゃよ」


「えっ、アンドロイドですか……?」


「しっ! 静かに! これは秘密の話じゃ」


「あっ、はい……」


 理事長は先生から少し離れると、話を続けた。


「彼、少し変わってなかったかね?」


「確かに、給食の時間とか少し様子が変でした……」


「うむ。まぁ、そういうわけで、あの子は少し特別なんじゃ。なにか困っておったら、助けてあげておくれ」


「それはもちろん。教師ですから……」


 それを聞いて、理事長は笑顔を見せた。


「それではの」


 手を振りながら去っていく理事長。


 先生は緊張が解けて、その場で呆然としていた。


「ガブリエル君が、アンドロイド……」


 その言葉の意味を、心の内で反芻してみる。


「私は……」


 先生は自身のポケットから手を引き抜くと、


「私のは、アイフォン……」


 まだ、ローンが残っている最新機種。


「いったい、なんの話だったのだろう……?」


 わざわざ呼び出されて、まさかスマホの話題に終始するとは思わなかった。


「確かに私が学生の頃は、小学生のスマホ持ちに特別感あったけど……」


 先生は神妙な面持ちで、その胸に手を当てた。


(理事長、時代は変わるんです……)




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ