ep.21 給食
それはガブリエルにとって、とても恐れていたイベントだった。
「それではみなさん」
「「いただきまーーす!!!」」
給食の時間──。
クラスの皆と同じように、ガブリエルの席にもしっかりとそれは配膳された。
ガブリエルはお箸を手にすると、鶏の唐揚げをつんつんと突くばかりで、まったく口に運ばなかった。
それを見ていた隣の子が、不思議そうに言った。
「どうしたの? もしかして、唐揚げ嫌い?」
「そういうわけじゃないけど……」
しかし、皆が給食を食べ始めているなか、ガブリエルだけがなにも口にしていない。
隣の子は、ますます不思議そうな顔をした。
「なら、どうして食べないの……?」
「食べないというか、食べれないというか……」
「えっ? ひとつも?」
(はぁ、アンドロイドの僕に給食出されてもなぁ……)
面倒臭そうにため息を吐くガブリエル。この時間が早く終わればいいなと思い始めたときだった。
「ちゃんと食べないの、先生は感心しないなぁー」
ガブリエルの背後から囁いてきたのは、担任の永島先生だった。
「そ、そうですよねぇ……はは」
困り顔のガブリエルに先生は付け加えた。
「まぁ、なにか理由があるなら別だよ? コンプライアンスにうるさい時代だし。給食ハラスメントなんて言葉があるくらいだからねー」
先生の話を聞いて、ガブリエルはなにかを思い出したように答えた。
「あ……実は僕、会食アレルギーなんです」
「え? なんて……?」
「会食アレルギーです。人前で食事すると、痒みと発作で死にそうになるやつ」
それを聞いて、先生と隣の子は目を合わせた。
((そんなアレルギー、あったか……??))
もの凄い疑われ方をしているのに、まったく動じないガブリエル。
強要したらハラスメントですよ? と言わんばかりのふてぶてしさだった。
「わ、わかったわよ……。ガブリエル君、あなたは何処か空いている教室で食べてきなさい」
先生の許しを得て、ガブリエルは自身の窮地から退散するのだった。
(ふぅ、給食って命懸けだな……)




