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ep.20 回答

 算数の授業。シャルロットは前に出て、黒板に計算式とその答えをスラスラと書いていく。


「そうですね。この問題はそう解くと、簡単に答えがでますね。よくできましたー」


 シャルロットが問題を解いたところで、キーンコーンカーンコーンと終業のチャイムが鳴り響いた。


「はい、じゃあ授業を終わりまーす」


 先生がそう言ったので、自分の席に戻るシャルロット。それと同時に、休み時間に入った生徒達が、ガブリエルのもとに押し寄せた。


「ちょっと、痛っ! わたくしにっ、ぶつかって行かないでよっ!」


 席に戻ろうとしたシャルロットは、押し寄せてくる人で散々だった。


 いつもなら、気品のある令嬢のシャルロットに、誰もが気をつかうところだった。それが、この軽んじられよう……。


 それもこれも、すべての元凶はガブリエルにあるように思えた。


(んもぉぉぉ、今度わたくしを怒らせたら、タダじゃおかないから──)


 最後列の窓際の席。そこがシャルロットの席だった。

 日が暖かくて、外の眺めもいい。彼女はしばらくの間、空を眺めながら気持ちを落ち着かせていた。


 しかし、なにか違和感を感じて周囲を見渡すと、ガブリエルの周りに集まっている集団が、自分のことを凝視していた。

 と思えば、今度はガブリエルを引き連れて、シャルロットのもとに集まってきた。嫌な予感しかしない。


「ねぇねぇ、シャルちゃん! ガブリエルくんもフランス語しゃべれるんだって!」


 一人の女子が嬉しそうに打ち明けてきた。


「Bonjour.(こんにちは) On s'est rencontrés récemment dans une papeterie, n'est-ce pas ?(こないだ文房具店で会ったよね?)」


 ガブリエルの問いに、シャルロットは固まった。


(どどどうしよう……。わたくしのことは、フランス語も話せる淑女だとみんな思ってるのに、もし何も喋れないってバレたら……)


「Je suis désolé de ne pas avoir pu t'aider à ce moment-là(あの時は、助けになれなくてごめんね)」


 シャルロットは取り敢えず相づちをうって誤魔化すことにした。


「イエス、オー、イェーイ」


「……」


 静まり返る教室。クラスメイトの視線が痛い……。


「Est-ce que tu ne parles que japonais à cause de ton apparence ?(もしかして、その見た目で日本語しか話せないの?)」


 ガブリエルが何を言っているのか、シャルロットには分からない。しかし一瞬、彼がニヤリと見下す表情をしたのを、彼女は見逃さなかった。


 ばんっ! と机を叩くと、お嬢様は足早に教室を出て行った。その目に少しの涙を溜めて。


(決定的……。決定的です……)


 シャルロットは決意を胸にする。


(死刑っ! ぜったい死刑ーーっ!!!)






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