ep.19 質問
チャイムが鳴って、ひとまずの授業を終えると、ガブリエルの周りは色々聞きたいクラスメイトで、ちょっとした人だかりになっていた。
「ねぇねぇ、なんでこの町に来ることになったの?」
いきなりの核心をつく質問。ガブリエルはビクッとしながらも、ごまかしの答弁を考える。
「えっと……可愛い子には旅をさせよって言うじゃない? 経験のためにって、知り合いの発明家の家に放り込まれたの」
そう言い終えてから、この設定……苦しくない? と内心ドキドキしていたが、あっさりと次の質問が飛んできた。
「あのさ、今おうちどこ!?」
「家は、フェアリーマートの近くだよ」
「ねぇ、フランスってどんなだった?」
「うーん、良い所だったよ? 住めば都てきな」
「ガブリエルくん、日本語上手なのどうして?」
「まぁ、応用的な言語モデルを使ってるからね」
「げんごモデル……?」
そんなワチャワチャしたやり取りを、少女は一番後ろの席から眺めていた。
彼女は転校してきた人物に見覚えがあった。
(どう見ても文房具店の男の子ですよね……)
自分のことを、あれだけ冷たくあしらった少年。思い出すだけでムカムカしてしまう。
「ねぇねぇ、シャルちゃん。あの転校生どう思う? 私はけっこうアリだと思うけど」
シャルロットは聞いてきた女子を睨み返した。
「ナシだと思う。たぶん生理的にムリです。わたくし」
「あ、そうなんだ……。なんか、ごめんね……?」
もうすぐ休み時間も終わるというのに、相変わらず少年の周りには人が集まっている。
シャルロットはそんな前方に冷たい視線を向けた。
(だいたい、みんなして少し浮かれすぎじゃない? わたくしだって、フランス生まれなのに……。 わたくしだって、あんなにチヤホヤされたこと……ないのに!)
葛藤するシャルロットだった。




