ep.18 魅惑の転校生
4年3組の教室。
「はーい、注目〜。今朝はみんなにお知らせがありまーす」
女教師は教室に入るなり、やや大きな声で生徒達にそう伝えた。
賑やかだった教室が静まると、教師は今度、入り口の方へ向けて言った。
「ガブリエル君、こっち、こっち」
合図を受けて、ガブリエルは教壇の中央へ向かった。
ガブリエル──。まず、その日本人離れした名前に、教室はざわめいた。
教師は続けて言う。
「えー、今日からクラスの一員になる、転校生のガブリエル君でーす」
短く紹介されて、ガブリエルは愛想のいい笑顔を浮かべた。
「初めまして、ガブリエルです。訳あって、遠くフランスより移転してきました。まだ色々と日が浅いので、仲よくしてもらえると嬉しいです」
ニコッとして、虚実を混ぜつつ無難に挨拶したつもりだったが、およそ三十人からなる教室には、予想を超えるリアクションが踊った。
「フランスって、あのフランス!?」
「なんで日本語ペラペラなの!?」
「見た目は日本人っぽいし、帰国子女ってこと!?」
そんな教室の様子に、ガブリエルは少し困った顔をした。
(うーむ……。本当はアンドロイドだし、誕生したの最近だよ! なんて言えない……)
「ちょっと! みんな静かにー! お静かにー!」
先生に注意されて、教室はいったん静けさを取り戻した。
「ガブリエル君、あなたの席はそ・こ・ね」
先生が指差したのは、教室の最前列の席だった。
ガブリエルは「はいっ」と返事をすると、不思議な高揚感とともに、そこに着席した。
これから起こるすべてが、楽しみで仕方ない──。
ガブリエルは、そんな眼差しをしていた。
教室の後ろから、冷たい視線を向けている少女がいることなど知らずに……。




