表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/24

ep.17 サニーサイドアップ

 熱したフライパンに油を引き、温まったところへ卵を割って落とすと、透明だった液体はすぐさま色を帯びた。


 蓋はせずじっくりと火を入れると、大きく広がっていた白身が、次第に縮まっていくのがわかる。

 それでも真ん中の黄色は半熟を保っていて、フライパンからパチパチと音がしてきたら、美味しい目玉焼きの完成である。


 そんなふうに何度か料理をするうちに、台所の勝手も分かってきて、ガブリエルは少しづつ自信をつけていた。


 と言っても、ガブリエル自身はアンドロイドゆえに食事を必要とせず、自分で料理を食べることはない。

 必要なときに味見をして、その成分やバランスを分析し、美味しいとされる指標に近づけるだけだ。


 本当は食べた人に感想を貰えるとデータの蓄積が捗るのだが、あいにく殺生丸にはいちいち感想を言う気がないらしく、味付けの精度が上がっているとは言えない。


 したがって相手がなにも言わないつもりなら、なにか言いたくなるまで、少しずつヘンテコな味にしてやろうとガブリエルは企んでいる。


 調理したものは、リビングの食卓へ並べていく。

 今朝はベーコンと目玉焼き、ご飯と味噌汁、そしてサラダを少し。


 しかし、肝心の殺生丸はまだ寝室で寝ているだろう。

 それはいつものことで、彼が起きてくるのはおおよそ朝と昼の間くらいだ。


 今までなら、ガブリエルもその時間に合わせて朝食の仕度をするところだが、今日からはそうも行かなかった。


(そろそろ行かないと……)


 時計は7時を回ったところだ。

 ガブリエルは新しく買ってもらったランドセルを背負うと、玄関に向かった。


 初めての登校……。

 少し緊張しながらも、靴を履き、ドアノブに手を掛けた。


 その時だった。


 背後に人の気配を感じて振り返ると、眠そうな目の殺生丸が、ひっそりと立っていたのだ。


 まだ短い付き合いとはいえ、こんなに朝早く起きている殺生丸を見るのは初めてのことだった……。


 彼はなにも言わず、ガブリエルに手を振った。

 それで十分だった。


「殺生丸様、いってきます!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ