ep.15 お嬢様
街の商店街。とある文房具店の前に、場違いな高級車が訪れた。
光沢のある重厚なドアが開くと、そこから降り立ったのは、二人の屈強なボディーガード、そして人形のように可愛らしい少女だった。
巨漢の二人は、黒いスーツに身を纏ったサングラス姿。いたいけな少女は、薄青色のワンピースに、小さなバッグを手に下げている。
長くて気品のある金髪が、少女に特別な雰囲気を纏わせ、瞳の淡い青がそのオーラを確固たるものにしていた。
「シャルロット様、中へどうぞ」
そう言って、男の一人が店のドアを開けたが、店の中はいたって普通の商品が並ぶ、普通の文房具屋だった。
そんな店内の風景を、少女は物珍しそうに見渡している。
「わたくしがいつも行く所とは、ぜんぜん違いますね……。これほど珍しい文具を見たのは、初めてかもしれません……。ロゴも宝石も付いてないなんて……」
少女は何かを探すように、店内を見て回った。客足は疎らで、店内はひっそりとしていたが、しばらくして少女の弾んだ声が響いた。
「あっ! 見つけた! これです! これですよ!」
彼女が手にしたのは、肉球の形をした消しゴムだった。いろんな動物の肉球が、可愛く消しゴム化されていて、学校で話題になっているものだ。
「クラスでブームになってるけど、どの店に行っても置いてなかったのに! 凄いです、このお店!」
少女は嬉々としてお会計に向かった。
「お願いします!」
しかし、店員は曇った表情で言う。
「すみません、お客様。うち、現金だけでして……」
「ん?」
「こちらはカードですので……」
「ええっ? これ現金じゃないの!?」
少女は慌てて二人の連れに現金を持っているか聞いたが、男達も現金は持ち歩いていないらしい。
そうこうしていると、ひとりの少年がお会計をしに来て、小銭をちゃらーんと置いていた。
(これで筆記用具は揃うから、あとは殺生丸様に頼まれたお弁当か……)
「はい、ちょうどお預かりします。これ、レシートね。またのお越しを〜」
(あ、あれが現金……。テレビで見たことあるっ……!)




