ep.14 叫び
「でもまぁ、しかしだ。冷静に考えたら、学校なんて行かない方がいいに決まってる」
ソファーに保たれながら、殺生丸は諭すように言った。
「なぜかって? 行ったところで、得るものなんて無いからだよ。学校には勉学のために通うわけだが、そんなもん動画で十分だろ。集団行動? 社会性? 笑わせるぜ。学校とかいう狭い社会の中で築かれるのは、容姿や能力による格差と、それから生まれる醜い序列くらいだ」
ガブリエルは黙って話を聞いている。
「実際、おいらは学校に通って良かったことなんて、1つも無かったぜ? 無駄に拘束される時間、まるで生産性のない日々、苦痛で仕方なかったね」
殺生丸は嫌なことを思い出したように言った。
「なぁ、ガブリエル。お前は学校に行きたいのか? だとしたら理由は? 生憎、おいらには1ミリもお前の動機が分からない……」
友人もろくにいなかった殺生丸が、後に引きこもりになるまでの学校生活は、悲しいほど空虚なものだった。ましてや憧れるような場所では決してないのだ。
静かに話を聞いていたガブリエルは、自分の内に心を向けた。学校に通い、物理的に殺生丸と距離を置くことで、彼の自立を促したい。それこそが、殺生丸には言えない本来の目的だった。しかしながら、自分の内に心を向けるほどに、小さな光のような欲求が込み上げてくる。
ガブリエルは殺生丸の目を真っ直ぐに見つめると、小さく呟いた。
「なの……」
「ん? なんて……?」
「だから……この家に四六時中いるのが退屈なのぉぉぉぉ!!!!」
ガブリエルの魂の叫びに、なぜか申し訳なさそうになる殺生丸だった……。




