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#をつけれるような人生は送ってない

 入学式は昼頃に終わりみんな帰宅する中、俺は一人だけ教室に残り、手と顔を地球儀みたいに乗っけてみんなの帰宅を見下ろしながら悩んでいる。

 それはーー

「暇だ〜! 店も休みだし、さっきまで寝てたし眠くないんだよな〜!」

「薫じゃん。まだ、帰ってなかったんだな」

 振り返った先には彼女、城戸咲也きどさくやが居た。黙っていればイケメン、しゃべれば子供。そんな性格とテンションしている。俺の数少ない、いや、唯一の親友だ。

「お疲れ

 がらがら、とてとてと確かに距離を詰めていった。やっぱり、そう、再実感させられる。

 彼との身長の高さは今は見下ろして、見上げてた。でも、関係にも高さはない、親友はいつだって同等だ。

「咲也か……なんか暇つぶしない?」

「藪から棒だな……ではクイズです! 今日から部活に入りました何部でしょーか?」

「――帰宅部だろ。どーせ、というか帰宅部ならもっと早く帰れよ」

「スロースターターなんです〜! それで同族嫌悪かぁ?」

「事実だわ。嫌悪してるのはクソ親父と俺ぐらいだわ」

「お前は嫌いかもしれないけど、私はお前のこと好きだぜ! キラーン!」

「ごめん。俺は女が好きなんだわ」

「そういう意味じゃねーよ! というか、あたしも女だわ!」

 手のひらを差し出した。きっとこいつのことだから、ダンスの誘いを思い浮かべてそうだな。

「お手」

「そっちか〜! おすわりの方かと思った」

「そっち?」

 お腹を押さえても、収まらないぐらいにお腹が痛い。口に握り拳で栓をしても漏れ出る笑い声は幸せだ。

「ごめん、ごめん。お前は反応がいいからついな」

「もうしりませ〜ん」

 プイッ!

「お詫びに何処か食事でもしよーぜ」

「……ケーキバイキング」

「君の意見に決めた!」

 怒ってない怒りに言いようにのせらた。いや、実際は自分からのせに行ったんだけどな。


 白い皿に色鮮やかにケーキで彩った。食べる罪悪感は虫歯になりそうな、甘さの前に溶けた。

 両頬が落ちそうになるから、両手で押さえる程に、本当に美味しい。

「なるほどなぁ、そんな事があったんだな。その子めーちゃっ面白いじゃん。友達になったら?」

 ブラックコーヒーを啜り、甘過ぎるこいつの思考にブラックコーヒーの様に苦味を足して思考を増やそうとした。

「……そんな簡単な問題じゃないだろ。それに……嫌な思いする」

「そんな問題だろ? それにお前が『犯罪者の子供』だったとしても仲良くする奴はいるよ。私たちみたいにさ」

「確かにそうかもしれない。でも、俺の人生は#をつけれる様なものじゃない。だから、そんな人生に巻き込まれて、嫌な目にあって欲しくない、それに高校入学、クラスも別。丁度いいタイミングだろ」

「確かになそれも事実だと思いますよ旦那。でもさ、私たちが見てる人生なんてだいたい綺麗に加工した切り取りなんだから滅入たってしょうがなくない? それに! 波瀾万丈の人生に着いてから相棒とかロマンの塊だろ!」

「咲也……店の中は静かにしろ……!」

「ぐわー! 親方空から拳が!!」


「って事がね。あったんだよ。ウケるよね」

 笑顔で何も疑問が引っ掛かるような素振りもなく、彼女は語り合えた。

 その言葉は不安が募る。

 何でこうなったんだろうかと思い出す。朝までは問題なかったけど、あった。目が覚めるほど空腹が酷かった。だから朝食をいつもより早めに食べて家を出たんだ。それでいつもの日記をつけるの忘れてたから、学校に来だけど早朝の教室が開いていなかったんだよね。

 それで日記をつけてたんだよね。うんうん。それで、薫とお友達さんが登校してきたかと思えば、私を見つけた途端、お友達さんが駆け寄ってきたきて昨日の事を語り始めて、動揺してる間に語り終わってしまった。


 え? これ私に言って大丈夫? 隣にいた薫は何にも言わなか――頭押さえてる〜! 

「あの……大丈夫ですか?」

「え?」

「その、色々とプライバシーが漏洩されてましたけど……」

「あっ…… 何で止めてくれなかったんだよ!? 薫!!」

「止めに入る余裕がないぐらい俺も驚いてた……」

「雨宮さんその――」

「ーーあははははっ! 大丈夫です。メモに取らなかったら一週間で忘れるので」

「マジあざまる水産! この御恩は何かしらで返すから」

 あざまる水産?

「俺にもなんかよこせよ」

「まっかせなさーい」

 ぐぅ〜!

「お、おかしいな。ご飯食べてきたんだけどな〜!」

 恥ずかしい。

「まさかこんなすぐに恩返しが出来るなんて、私はついてるな! はーはっはっはっ!」

「でも、それ、さっき勉強しながら食べるって言ってなかったか?」

「え!? だ、だったら流石にいただけないです!」

「じゃん! もう一個あります!!」

「おぉ……」

 相変わらずよく食べるな~……。

「なら、遠慮なく。いっただきまーす」

 バクバクバク。

 噛まずに食べたせいで喉が詰まる。ドンドンとドラミング。だけど、喉下を降りる事はなくて、苦しいまま続く。

「大丈夫か? これ」

 差し出されたリンゴジュースを貰い潤滑油にした。

「ありがとう、ごめん、飲み物……」

「……自販機で当たった奴だから気にしなくていいと思うよ」

「そーそー、気にしなくていいよ」

「これで恩は返したから」

 こっそりと耳打ちした。

 はいはい。


 そんな会話をしていたら、担任が来た。生徒名簿を肩に下ろし、意外そうな顔をしている。

 実際俺みたいな不良とこの二人は似合わないと思うし、意外だ。

「お前ら来るの早いな。今教室開けるからちょっと待ってろ」

「あざまる水産!」

「「ありがとうございます」」

「城戸。お前が礼を言うのはいいが教室違うだろ?」

「あっ.....そうじゃん!?」

 顔を合わせあい。笑いが吹き出した。顔がくしゃっと壊れるぐらいに。

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