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野球がWORKワク

作者: 孤独

野球は面白い……。それは人それぞれの価値観で構わない。

しかし、運動音痴の人間がある日、運動神経が抜群に良くなるのなら、何かのスポーツを楽しみたいのは事実だと思う。運動ができる人ってのは羨ましい。グラウンドの端で、好きに拗すねてるわけじゃない。


「たまんねぇな、この守備」


それはそうとして、大人という”仕事”を持った。

だからこそ、スポーツを”仕事”にしているというのは素晴らしい。その道でなんらかの挫折をし、スポーツに携わる道を歩んだ者達も多いだろうし、満足や限界、引退をしたという体と心の整理。納得いかない事もあったけれど、スポーツをやってれば、そーいう社会にぶつかる。


日常的かつ平等な地位の人間による仕事を、野球に例えると、……ぶっちゃけ、”守備練習”


いかにボールを捕球し、いかにエラーをせず、いかに色んなポジションをこなせるか。そして、別のポジション同士の連携も必須であり、声掛けやサイン、守備シフト、状況に応じての確認……などなど。しかも、27アウトを記録するまで終わるわけもなく。練習なんだから。

今日1日の仕事を終わらせないといけない。


「菊池が9人なら鉄壁だろ!いや、源田の方も凄いか!?こーいうドリームチームがホントにできるならなぁ!(ゲームなら可能だけれども、リアルで見たい)」


そして、”練習”という言葉が付いているのに、観客というお客様が見てくださる。感覚は違うかもしれないが、お客様がいないと生きる金が手に入らない。お客様とすれば、守備に限った事ではないけれど、名を持って、力のある選手に目がいくものだ。

菊池選手や源田選手、吉川選手といった、凄い守備をする選手達が守備についているってのは大きくて、ワクワクもするもので、……それが当たり前になる。

元メジャーリーガーで、中日ドラゴンズに在籍していた、川上選手が大リーグ時代に


【アライバだったら捕っていた】


と、改めて、元チームメイトの存在の大きさも知った。

WBCなどの国際的な野球大会で、いつもの敵が味方になる時の頼もしさ。感覚のズレ。とくにお客様や投手は凄く感じる事だろう。派手な守備を全然派手に感じさせない守備にする。絶対に無理だという打球を、捕球してしまうということ。

エラーをしなかったり、難しい打球を抑えるというのは、かなり大きな価値だ。

その1アウトは確かにお金になる。


◇        ◇


「で?このミス、何回目?」

「だははははははは!もう数えとらんなぁ!!」


仕事ということに班チームはあるもの。部署とかが別れているようにだ。そこらへんの人間関係のもつれは、まぁ知らんけどさ。


「……お前なぁ」

「悪い悪い。でも、お客に迷惑いってないんだろ?なら、いーじゃん!」


班チームを組む以上、一人一人能力の異なる面子が集まる。そりゃあ、ドリームチームもありゃあ、問題集団もできるわけだ。それがブラック企業の基礎かもしれない。

そこに人手不足がやってきたもんだ。


これまた野球に例えるが、現場を回すために必要な……試合形式にするために必要な、”9人分”はとりあえず、いるもんだ。


「今、人が少ないんだから、つまんねぇミスも腹が立つんだよ」

「それ言ったら、俺は定年をとうに過ぎてるんだから、辞めてぇよ」


問題はベンチ入りの人間が1人か2人、……あるいは”0”とかいう状況。

それが今の会社の現状であり、……先ほど、9人分は揃っているという話をしたが、それすらもぶっちゃけ、幻想というかその


【あのさぁ、仕事が終わるんだったら、この人数で良くね?】

【残業で補ってくれ】


聞きたくねぇ言葉ですまないが。

”守備練習”と例えた手前、とりあえず、27アウトを捕れるだけで良いのならだ。守備を9人揃える必要はないんじゃねぇか?外野は2人態勢、内野は3人態勢で守ってくれと、監督やコーチ、オーナーとかいう、……こっちで言うと、上層部や部長


「それは半分、分かるぜ」


滅茶苦茶な話だが、全員の守備力が菊池選手や源田選手だったら、守備は7人で十分。

確かにできそうな気がする。


「でもよぉ、俺は定年過ぎてるんだぞ?事実上、引退を宣言したいんだが」

「そりゃあお前、働ける奴は若手扱いだよ。永遠の若手だ。喜べよ。お前は永遠に若いままだ」

「65はとうに過ぎてるんだが?そんな基準の若手は存在しない。っていうか、お前もだろ?」


しかし、現場にそんな選手がいるわけもなく、っていうか、もう引退してノビノビと暮らしてそうな人が未だに現役をやっているような状況だ。還暦を過ぎても、昔は守備の名手だったんですよって紹介されても、そんなの困る話だ。当人からすれば、メッチャ迷惑。

ヒットはいくら打たれてもいい。しかし、ホームを踏ませんな。そんな理論で1日の仕事が回っている。


ホームランを大事故とするなら……自分の仕事は物流関係なので、交通事故や物の落失、紛失、破損。


ヒットを事故とするなら……配達の遅れ、対応の悪さぐらい……こっちの被が少ないミスか。

ホームランを打たれないのなら、マジでそれで許す甘さはある。上層部だって仕事はしてる。

その対策として。試合会場となるフェンスは大工事という名の、”業務改善”が行われ、フェンスが50mの高さになれば、そーいう事故は起きづらいだろって?なんか暴論を言ってくる。……ホームランは、フェンスを越えるだけじゃなくて、ランニングホームランもあるだろ?今、守備している人数が7人ぐらいしかいないせいで、ランニングホームランを滅茶苦茶、喰らっているんだが?

普通にホームランを打たれる方が疲れねぇし、スッキリするんだが。全力疾走で止めにいき、全力送球で阻止を狙うんだから、守備負担が上がっているんだが?



「これもう無理だろうが!!新人、そりゃあ逃げ出すっつーの!」

「だから、お前等を再雇用してるんだろうが!!」


新人が入って来て、……いきなり、菊池選手や源田選手のような守備ができるようになる!……ではなくて、できないのにそうしねぇともう27アウトがとれねぇ!!


ダイエットに例えるなら、”1日で5キロ痩せます”という謳い文句の真相は、”5キロ痩せるまで拷問”だったら、話しが違うだろう。みんな”楽”をして痩せたいものだ。


とんでもねぇ速度でレベルアップをしていく感覚は、ガチャゲー感覚を感じさせるが、……それを肉体的な疲労や精神を病ませ、時間を潰すとなりゃあ


今のインフラ事業は人気出ねぇや。おまけにサービス低下という”業務改善”をしてりゃあ、お客様=もしかするとここにやってくる未来の新人も遠慮するだろう。

華やかさと甘さがない。

いやぁ、最悪だ。


「人がもう増えねぇよ。停止停止!」


首を横に振るレベル。これはもう、上もそれを感じ取っている。そして、この企業だけじゃねぇというのを察している。

いっそ止めるなり、終わらせるなりだ。

そんで社会がどうなるか。


「働く年寄りに聞くな!」



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