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タチアナ5歳の前世は…… 魔導具職人?


「ふぅ……〝二重付与魔法〟に成功…… やっぱり、このボタン…… 二重構造だった」


タチアナの母が作った……


うさぎのヌイグルミ型リュック【ウサシャン】の胸のボタンは……


青い魔晶石の中に赤い魔晶石を埋め込んだ加工がされていた。


「表面は青いのに、中に紫の花の模様があったから…… たぶんそうだと思ったんだよね。表面の青い魔晶石には〝自動修復〟を付与して、中の赤い魔晶石には……〝空間魔法の収納〟を付与したの。これでウサシャンは〝マジックバッグ〟になったけど…… 両目のボタンも魔晶石だから、私専用に〝所有者登録〟と〝重量軽減〟も付与しよう」


〝所有者登録〟は…… 防犯の魔法で、私が登録した者しかウサシャンを〝魔導具〟として使えない様にする魔法です。


後、この魔法を付与すると……


魔導具としての必要魔力を常に私から吸収するので、私のエルフ病の軽減と…… 魔力反応からウサシャンの位置が解る様になります。


「重量軽減は…… 5歳なので、体力的に付与だね」


ウサシャンの魔導具化に成功したタチアナは、あらためて部屋を見渡す……


(脱出すると…… たぶん、此処には戻れない…… ウサシャンのおかげで、荷物的には持っていけるけど…… 私の安全上……〝護衛と移動手段〟が必要だよね)


タチアナは、部屋の中でも一際大きな2体に目を止めた。


「本来ならば…… 長い時間をかけて、親和性が高い属性の魔石に魔力を流し入れて〝融合〟…… その後で魔力をゆっくりと流しながら、二重付与を施さないといけないんだけど…… まさか、装飾技術で魔晶石を二重構造する方法があるなんてね。この手法なら…… 三重…… 品質によっては、四重…… 五重六重の付与が可能になるかも?」


タチアナは、自分の部屋に座る巨大な物体に近付くと……


「やっぱり……〝あなた〟の目と装飾も…… 二重構造以上なのね」


部屋の椅子に座るのは…… 2メートル近いクラシカルなナース服の巨大な熊のヌイグルミがいた。


腕の良い外科医だったタチアナの母の趣味は…… 手芸だった。


日頃から人体を切り縫いしていた母にとって…… 手芸は実益になる趣味で、人体構造を深く知る母の作る服はとても着やすくって、ヌイグルミは可愛いながらも、実際の動物の様に動いた。


その母の最高傑作とも言えるのが…… この熊のヌイグルミの【ベア美】である。


「おねえちゃん…… 一緒にいこう」


ベア美は…… 生まれてくるタチアナの為に、母が〝見守る姉〟として、用意していてくれた物だ。


生まれてからずっと…… 隣にいてくれた存在……


だからこそ、タチアナは最強の強化をベア美に付与する。


「先ずは〝所有者登録〟……〝洗浄〟と〝状態維持〟に〝部分硬化〟…… それに〝障壁展開〟に〝状態回復〟……〝調理向上〟と〝攻撃上昇〟に……〝防御上昇〟…… ハァ…… ハァ…… 最後に……〝治療魔法〟を付与…… フゥ~」


タチアナは、ベア美に全力で付与魔法を使用して一息を吐く……


「後は…… ママの手芸道具から魔晶石を1つ使って、〝拡張〟を付与…… これで、ウサシャンのチャックが広がる様になったから…… ちょっと大きいのも入るね」


タチアナは、ベア美の肩に乗ると……


「おねえちゃん…… ゴー♪」


タチアナを肩車したベア美の目や装飾の魔晶石のボタン達が…… 色とりどりに輝きを放つと、ゆっくり立ち上がった!


「よし! おねえちゃん、急いで脱出の準備だよ」


タチアナはベア美に肩車の状態で、ベア美を操作しながら必要だと思う物を片っ端から集めた……


父と母の仕事道具である医療道具から、父の趣味のキャンプ道具に母の手芸道具、母の手作りのタチアナの衣服などなどに……


(パパのキャンプ道具にソーラーパネルと携帯蓄電池があるから…… 家電品も持って行こうかな?)


タチアナは試しに、ベア美で冷蔵庫を持ち上げてみる。


「おお…… おねえちゃん、すごい♪」


ウサシャンの中に、冷蔵庫に電子レンジや暖房器具と扇風機などなどを放り込むと……


「それじゃあ…… そろそろ行こうか?」


母の手作りの黒猫の着ぐるみに着替え、頭から父のバイクのゴーグルを被って付ける。


ベア美にも母の手作りポンチョ被せて、フードに座るようにタチアナの身体を固定する。


「やっぱり…… あたち、5さいのへいきんちんちょうよりちいさいよね? いまは、たすかるけど…… ちゃんとおおきくなるかな」


ウサシャンリュックをベア美に背負わせて、ベア美の肩に乗って頭に貼り付くと……


ドタドタと足音が玄関から聞こえてきた。


「きたか…… おねえちゃん、いこう!」


タチアナが父のゴーグルを目に合わせた時に…… 玄関の扉を破壊して、兵士達が駆け込んで来た!


「(あたちたちのおうちを……)よごすな!」


ベア美のヌイグルミナックルが兵士の顔に突き刺さる!


「ぐべら!?」


殴られた兵士の鼻はひしゃげて…… 吹き飛んで廊下の壁にめり込んだ!



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