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るろうがぁる   作者: 日暮蛍
名無し
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十九話 井上 真琴

真琴の家では父方の祖父母の家にも帰省する。その場合、母と父と真琴の三人で行く事になる


父方の祖父母の家は同じく帰省して来た親戚が大勢やって来て賑やかだ。真琴と歳の近い子達もやって来る。

父方の祖父母の家にやって来た親戚達は楽しそうに食事をしたり近況を報告する。父も母も親戚達と楽しそうに話をしている。歳の近い子達は仲良く遊んでいる。


真琴はそんな人達が集まる父方の祖父母の家が大嫌いだ。


真琴の私服を見て、親戚達は口々にこのような事を言う。


「真琴ちゃんは女の子だもの。可愛い服が似合う。」


そう言った後、親戚のもの達は真琴におさがりの服や金を押し付けてくる。金はともかく、気に入らない服を押し付けられて迷惑なのに父と母は良かったねと受け取る事を強要する。


親戚の子達に男の子に人気のあるサイボーグオチムシャくんのアニメが好きだと言えば


「そんなの見てるの? 変なの。」


と言われる。

女の子達からふられる話題は服や恋話。真琴はそれらに興味はなかったため話についていけず相槌をうつ事しかできない。真琴としては放っておいてほしいのに親戚の子達はしつこく話しかけてくる。

男の子達からはいじられる。しかも複数人で。何度もやめろと言ってもヘラヘラと笑うだけでやめないし親に言っても真琴の事が好きだから意地悪しているだけと言われまともに取り合ってくれない。


好きなものを否定され、親戚達が思う普通を押し付けられ、同年代の子達にいじられて精神をすり減らすだけの家に真琴は行きたくなかった。だけど、仮病を使っても真琴を一人で留守番させたくない両親は無理矢理連れて行く。


それでも真琴は耐えてきた。

父方の祖父母の家に行った後は大好きな母方の祖父母の元に行けるからだ。母方の祖父母に会える事は真琴にとって数少ない心の支えだ。

しかし、祖母が亡くなった次の年はもう祖父の家には行かないと言われた。それでも祖父に会いたかった真琴はそれなら一人で行くと母に言ったら真琴は母に怒鳴られた。


「いい加減にしなさい! お願いだから言う事を聞いて! どうして普通におとなしくできないの!?」


それに対して真琴がとった反応は、母の目を見る事だった。経験則から真琴は興奮している母に何を言っても無駄だと理解していた。母の目を見るのはせめてもの抵抗だった。

すると母は真琴の目を見た途端口を閉し、表情をこわばらせた。まるで何か怖いものでも見ているような目で真琴を見下ろしている。

なぜ母がそんな目で自分を見てくるのか分からなかったが、真琴はこれを機に真琴は母に背中を向けて自分の部屋に戻りベッドの上に寝転がる真琴。しばらくベッドの上で体勢を変えながら横になっていたが、突然勢いよく起き上がった。そしてベッドの上から降りて机の中にある貯金箱からお金を出すとそれを財布の中に入れてリュックサックの中にしまった。



◆◇◆◇◆



この年も真琴は父と母に連れられて父方の祖父母の家にやって来た。

親戚の人達に挨拶しに行く前に母は部屋に荷物を置いて子供達と遊んでいなさいと真琴に言いつけた。

真琴は短い返事だけをしてさっさと歩き出した。しかし、部屋には向かわず自分の荷物であるリュックサックを背負ったまま隙を見て庭に出た。あらかじめ用意していたもう一つの靴をリュックサックから取り出してはくと真琴は敷地の外に出ようとした。


「なにしてるんだよ。」


が、後ろから真琴に声をかけるものがいたため真琴は足を止めざるをえなかった。振り返った先にいたのは従兄弟の一人である男子だ。真琴に対してよく幼稚な嫌がらせをしてくるため、真琴は男子の顔を見て気分が悪くなった。


「もしかして叔母さん達に内緒で遊びに行くつもりか?」


そう言ってニヤニヤと笑いながら近くに置いてあったサンダルをはいて近づいてくる男子。

真琴は嫌な気持ちを抱えたまままっすぐと男子を見据えていた。


「いっけないんだー。叔母さん達に知られたら怒られるぞ。言っちゃおうかなぁ。」


今までのように楽しそうに真琴の事をいじろうとする男子が真琴の攻撃可能な場所まで近づいた時、真琴は足を振り上げて男子の急所を渾身の力をもって蹴り上げた。男子は大股で歩いていたため防御する事が出来ず、真琴の攻撃に反応してかわす事も出来なかったため真琴の攻撃をもろにくらってしまった。真琴の攻撃を受けてしまった急所付近に両手を当てて呻き声を出しながらその場にうずくまってしまった。


真琴は男子を置き去りにして素早く外へと出ていった。そして一刻も早く目的の場所へと向かうために重いリュックサックを背負った状態走り、一番近くにあった駅にたどり着くと線路図を確認したり駅員に聞きながら貯めていたお小遣いで切符を買い電車を何回も乗り継ぎ、時には長時間歩いたりした。初めての一人での遠出に体力はかなり消耗したが、真琴は泣く事なく目的の場所へと向かった。

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